銀座ママの本音(男性からお金を引き出す方法)
「銀座ママの本音 男性からお金を引き出す方法 」 1200円
藤夏子 著
ホステス本はさっと一読しては書店の本棚に戻すことが多いのですが、
この本はソクお買上げ。
完全な男目線で考察されているのが他のホステス本と一線を画していました。
なぜ、男の人が、体の関係も持たせてもらえないクラブというお高い場所に通うのか
ということをはっきりすっぱり解明している点では他書の追随を許しません。
この夏子ママは現在では10軒のお店の管理をしているオーナーママ。
あっちこっちから
「何であんたのとこだけこんなに儲かるの?」とやたら聞かれるそうで。
キャバクラや風俗と違って、クラブではおさわり禁止、
一度座ると4万から5万が飛んでいきます。
仕入れ値が3万円の酒を30万円でキープしてもらう場所です。
経済感覚が麻痺しているわけでもない、まともな位置の高い男性が
何故通い続けるのか?
この人たちを掴んで常連客にしてしまう秘訣とは何なのか。
ということに関して非常に客観的に書かれています。
じゃあ一体儲かるクラブホステスというのは一体何の魔法を使っているのか?
夏子ママの答えは
「女の立場を売っている」です。
「女」を売るは間違い。
あくまで弱者としての「女の立場」を売るのです。
「自分の立場を自覚し、弱者の立場に徹するということ。
ホステスは弱者の立場を利用して、強者である男性からお金を引き出す仕事なの」
「ホステスの仕事は弱者に徹してお客様を持ち上げること、
こっちが弱い立場でいるからお客様は格好よく振舞うの。」
「 男性はホステスのサービスにお金を払っているのではなく
『自分の強さ』を証明するためにお金を払っているの。」
もう、ここまで言っても良いのかというくらいはっきりきっぱりと
「目的は男性からお金を引き出すこと」
と言い切っています。
クラブの図式は、タカる女と驕る男
ホステスの仕事はタカリ とてもまともな仕事とはいえない。
ホステスという仕事のマイナス面も隠しません。
それでは具体的にどういう方法で男性と関わるのか?
ずばり 「甘える」です。
「xxさんにはいつも甘えさせていただいてます」
「あなたxxさんに甘えすぎよ」
「xxさんにいつも甘えちゃってどうもすみません」
そしていくら甘えても許されるように弱者の立場に徹するということです。
そしてもう一つ、この本で書かれている内容で
ほほう!と思ったのが
「獲物はチームプレイで仕留める」です。
お客さんに対しての情報は店全体で管理され、
このお客さんに対して、どういう方法でアプローチするのがいいか
店のバックで作戦会議が練られ、ホステスに指示が出されます。
どこの店でもそうやっているわけではなく
うまく経営している店はそれくらいのことはやっているということですが。
その方が強い個人が一人で頑張るよりも、群れ全体で獲物を仕留めた方が
実入りが大きいそうです。(本当にミもフタもない言い方ですね)
また上記のように甘えていると、うまく行っているときは良いのですが
お客さんに憎まれ、恨まれるということも当然起こります。
そうなったときどうするか。
女の子は一旦「群れ」の中に隠してかばいます。
そして、お店の責任者ママとか店長とかがお客さんに
「お店はホステスよりもお客様の味方です。」と囁くのだそうです。
ホステスより上位に置かれていると安心したお客さんは
落ち着きを取り戻して、やばいことはしなくなくなるそうです。
そしておさわりもしない、しつこくもない、呼べば飛んでくる、
お金を気前よく使ってくれる、そういう「いいお客様」というのは
最初からいるのではなく、「つくるものだ」とも言ってます。
ではそうさせるにはどうするのか?
ずばりそのお客の「コンプレックス」を掴むことだそうです。
惚れさせて通わせるのなら、他に女ができたらおしまい。
でもその人の人間性の根幹に関わる部分をうまくコントロールすることができたら
その人はもう離れていかないそうです。
クラブという場所ではすごい人間観察が行われているんですね。
ママというのはそのチームのの監督なのです。
で、その掴んだコンプレックスをどうするかというと
もちろんそれをネタにゆするとすると犯罪ですので
そうではなく、そのコンプレックスを満足させてあげるのです。
学歴にコンプレックスがあるなら、学歴を
人望がないと嘆いているなら、その部分を
二代目の若社長ならお父さんよりあなたの方がすごいと。
男を立てて立ててたてまくるのです。
コンプレックスを探るにはまず男性の「プライド」の周辺を探ればいいということです。
彼女達はお金を引き出すために、やっているのですが
結果として、自尊心を満足することのできた男性というのは
ずっと続けてお金を落としてくれるわけです。
他の部分でも一貫して「男の自尊心をつぶさない」ということを中心にしての
行動、言動を組み立てています。
伊藤明の「男は三語であやつれる」でも
魔法のことばナンバーワンは
「すっごーい!!」だったと記憶しています。
このママのすごいところは、
「クラブにずっと通ってくるような男に本当に強い人なんかいない。
強いと思われたがっている男が来るだけだ」
(ここまで言ってしまっていいのでしょうか?)
つまり、お客もホステスも実は現実にありえない架空の自分というものを
取引している訳です。
このママはキチンとそれをわかって仕事をしている。
だから続くし繁盛する。
そしてママもママの役割に徹している。
だから彼女はピエロ役を引き受けることが多いそうで
この本の中でも自分のことを「ただの嫁に行きそこなった女だ」と何度も言ってます。
じゃあ、こういう風に男性を持ち上げると男が元気になり、出世するのか?というと
そうではなくて、それはホステスの役目ではない。
そういうのは奥様の役目。
自分達のやることは別に男の出世の手助けではないと線を引いています。
(なにしろお金さえおとしてくれたら別に性格や顔が悪くてもいいといってますので)
うーん、ここまで自分の立場を客観的に考察できたら、
何の仕事やってもうまくいくでしょうね。
だからこの夏子ママはホステスから雇われママ 、オーナーママになり
今では実業家なのでしょう。
ということでこの本はビジネス本として、心理系の本としても読めた
ちょっと毛色の変わったホステス本でした。
これを読んですぐ夫婦関係が良くなるかというわけではありませんが
男性の考え方を理解するのには、ホステスさんが書いた本って
とてもいい参考書です。
しかし、男女の心理を読み解くのに、現代人がテキストを探すと
どうしてもお水系の本が多いってのも、ちょっと寂しいものです。
結婚という形態を選択した人間にとって。
だから次は夫婦愛の物語「二人で紡いだ物語」を紹介します。
ちょっと感動的ですよ。