「田辺聖子」さんってすごい(2011.6)
自分の本棚の整理をしていた時、
「妹たちへ」というエッセイが目につきました。
27人の有名女性による後輩達へ向けたエッセイ集です
その中の一人として田辺聖子さんが入っています。 2005年の本です。
田辺さんの項にこんな記述がありました。
私は今、七十五歳である。我ながらまさか、と思う。
若い頃の私はまことに傲慢な考え方ながら、
四十歳すぎて生きている人の気がしれないと思っていた。
人間は若い間だけ、値打ちがある、と思っていた。
四十代になると仕事の面白さと共に、人生の面白さも深く味わえるようになった。
四十代は体力・気力(根性といってもいい)ともに充実し。
あたまもいよいよ、みずみずしい。
四十代の面白さを知らない若者はかわいそう、なんて思った。
ところが、五十代、六十代になると、また、新しい地平が広がる。
そして、十代二十代の若さのよさもいつくしむ。
要するに人間はその時代、その年頃をしっかり生きていれば、
とても楽しい思いを味わえるということ。
年齢を重ねて、こんな素敵な言葉を残せるっていいなと思います。
それこそ、後輩たちへのエールですね。
高校生のときに、学校の図書館に田辺さんの文庫本がたくさんありました。
なんとなく読み始めたのですが、彼女のエッセイは、とても面白かった。
数年前に、藤山直美さん主演での朝ドラになりましたね。
「芋たこなんきん」だったっけ?
田辺さん、かなり年上の子持ちの男性と結婚しました。
その彼は「カモカのおっちゃん」と呼ばれて、
田辺さんのエッセイにたびたび登場するんですが
このご主人、当時高校生だった私にとってもとてもチャーミングな男の人でした。
大人になったらこんなご主人を持って、なんて思ったような思わなかったような、そんな記憶があります。
田辺さんの饒舌に付き合って、持論をほいほい展開するおもしろい男性を
憎からず思っていたのは間違いない。
田辺さんは毎日一日の終わりに、ご主人と一杯やりながら
あんなこと、こんなことを肴に楽しく語り合います。
この田辺さんの文章を開けるまで、
大昔に読んだそんな内容ずっと忘れていました。
しかし!
私は今日も子供を寝かしてから
夫と二人で3時間も本の話や、歴史の話をしていました。
夫婦ともに実によくしゃべるので3時間くらいは毎度のことです。
これって、昔読みふけっていたエッセイに出てきた風景、
田辺さんとご主人「カモカのおっちゃん」の関係みたいだ。
と、いまさらながらに気がつきました。
若いときに読んだ本って実はすごーく影響を受けるのかもしれません。
この本のトップも田辺聖子さん (博士の愛した数式の小川洋子さんの対談集)
田辺さんが下の世代に及ぼした影響は大きい!