またも思いがけない事
我が家のすぐ側に、
食堂があります。
二階部分は刺身屋。
一階部分は改装中で、
来月からは韓国伝統茶屋ができるようです。
実は一階部分には、ごく最近まで、しりあいの食堂がありました。
サンギョプサルという豚の脂身の焼肉がメインで、
席数の多い、お客の出入りの多い食堂でした。
去年私は町で一番大きい小学校で日本語を教えていました。
この店の小4の息子さんがそのクラスに入ってきて、
それはそれは日本語を楽しそうに学んでいました。
彼の家と、私の家が「歩いて一分」 ということが判明し、
私が「いつでも遊びにいらっしゃい」といったのを契機に
彼は毎日放課後、宿題を携えてうちに来るようになりました。
お店は商売繁盛で夕方からは子供を構っていられないようです。
夜の12時まで開けているということでした。
うちの子供たちとも仲良くなり、彼はほぼ毎日夕食まで食べていきました。
風呂にいれて寝かせてやらないのが不思議なくらい
うちの子のように何ヶ月も過ごしていました。
そのうち夫の機嫌が悪くなったので、夕食前に帰らせるようにはしましたが、
彼は、我が家でくつろぎ、遊び、うちの子と喧嘩してモノを壊し、
我が家のテーブルで宿題を片付け、それはそれは近い間柄になってしまいました。
私は自分が商売をしている家で育った娘だったので
「まあ、そんなもんだろう」 と彼の家の息子対する無関心を
そう不思議には思いませんでした。
彼のお母さんは一度も我が家に足を踏み入れることはありませんでした。
彼の家族は彼の日本語熱に付き合って、
夏休みには家族で日本旅行にいきました。
そして二学期も半ばを過ぎたある日から、彼の姿がぷつりと見えなくなりました。
ハテ?
日本語の授業、脱落する子供は多いけど、彼までどうしたかな?
しかし最近うちにも来ないし、一体なんでだろう?
なんかお店も閉まってる時が多いし。
彼の担任に聞くと
「お家の事情で引っ越すことになったみたいですよ」となんだかもぞもぞ答える。
それなら私に一言挨拶くらいするだろうに、変だ、変だ ???
と思っていたら、
最近、知り合いのオンマが教えてくれました。
「あの家、一家で夜逃げしたんだって。 」
「えー!!!、だってお店もうまくいってたみたいだけど?
あそこの奥さん学校の父兄会の会長だったから
学校の会合なんかいつもあの店だったじゃない。
それに、なんかソウルの江南のテチ洞(金持ち街)に親戚達がいるとか、
お金周りのよさそうなこといってたじゃない。」
「だ、か、ら! そういうこと周りに言って置けば、お金借り易いじゃない。
あっちこっちから借りて、全部持ち逃げしたって話よ!」
「うそだー!!!」( ゚ ▽ ゚ ;)
あとで別の知り合いに確かめてみたところ、
本当にそうらしいと言われました。
親はいいよ。別に、。
自分が借金して 逃げたって。
だけどあの男の子は、本当に素直な男の子だったんだ。
あの子が、親の都合でこんなことになるなんて。
ソウルの金持ちの親戚の話がホントなら
今頃預けられているかもしれない。
まだ、それだったらいいのだけど。
工事の足マットにされてしまった、かつてのお店の垂れ幕。
去年の今頃は、毎日のように
我が家に顔を出していた彼の境遇が、こんなことになってたとは。
だから人生ってわからない、、、 (えみこ)