いまだにびっくりすること(2011.6)
ファンさんたちとの日本語授業内容はこんな感じです。
カフェで、お茶とベーグルなどを間に挟んで
一時間集中して勉強します。
ファンさんも先生ですし、もう一人の女性も先生なので、あちらサンから
「先生、テストしましょう!」とか
「先生、書き取り試験やってください。」
と頼まれます。 すごいわー。
「なんかそういう風にテストしないと、私達やる気になれないんですよね」
「韓国人のサガよねー」(笑)って話になりました。
授業後に彼女たちと、勉強以外の話をするのですが、これが面白い。
たとえば、私は「こだわり」という日本語を韓国語で表すと何になるんだろうか?
という疑問をもっていまして、そのことを彼女達に言いました。
商人とか職人が高い尊敬を受けない国だから、もしかしてないのかしらと。
「こだわりって日本語を日韓辞典で引くと『執着』くらいの説明しかないのよ。
だけどこだわりと執着ってちょっと違う。 同じ意味に使える場合もあるけど。
なにか自分のすることに対する誇りというか、自尊心というか、
でもそれは別に他人に分かってもらえなくてもいいもので、あくまでも自分基準なのよ。
英語でいうとプライドになってしまうんだろうけど、自尊心とは少し違うと言うか」
というあくまでも感覚的な説明をすると、
さすがに日ドラを死ぬほど見てきたファンさんは、私の言いたいところをさっと理解して
「先生それ、あれですよ。 自矜心がいいと思いますよ。」
あとで、韓国語の専門家用の分厚い辞書で調べてみると、ビンゴ!!
それから 私が 「本当に綺麗です」 という韓国語を
チャム エップム二ダ。 と表現したはずなのに、
彼女達の表情は、なんか可笑しさがこみ上げている。
おかしい? 文法的には間違えてない筈。 何故? と聞くと、
「先生の 「チャム」は ほとんど 「ッチャン」 に近いので、文法的にはあってるんですけど、流行言葉でしょ
それって、わざと言ってるんですか?」 というのです。
つまり、強調を意味するチャム として言ってるつもりが、
実は 同じように使えるが、はやり言葉の 「ッチャン」に近かったということで。
私が言いたいのが「 本当に綺麗です」なのに、相手に伝わった言葉は
「チョー綺麗です」 になっていたということが、分かって愕然としました。
馬鹿じゃないの!!それじゃあ ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
今まで 「本当に」と強調してきたつもりが、
相手には、「チョー きれい」 とか 「チョーかわいい」だったのね。 がっくり。
指摘してくれてありがとう。 本当に。ちゃんと指摘してくれる人もそう居ないのよ。
みなさん、「外国人だから」でスルーにしちゃうからね。
こっちは気がついてないだけなのに。
それとか 別の生徒さんとの授業で、 「人工」という言葉が出て来た。
私にとっての「人工」は、天然とか、自然の反対語で
人の手の加わったもの、また人為的に作り出したもの という意味しかなかった。
ところが100年前の日本語文献に出てくる「人工」というのは、またニュアンスが違っていた。
その当時には、主な動力というのがまだ、人の手だったので
その労働力を現す意味での「人工」だった。 今と使われ方が違っていた。
へー と思って、生徒さんにそれを話すと
「いや、実は自分も先生が、人工(インゴン)人工(インゴン)って連呼する度に、
別の思いが湧いてたんですよ。
自分にとっての、インゴンっていうのは、人民共和国の短縮形の人共のインゴンなんですよ。
多分、ある年齢以上の韓国人に、インゴンって言ったら、人工じゃなくて、人共を連想すると思います。
それくらい韓国にとっての共産勢力の侵攻は脅威だったから。」
と仰る。 はー そうなのね。
そうよね。海一つ隔てて、いつも大陸と半島の混乱を横目に見て日本と
韓国は全然緊張度が違うでしょうねえ。
言葉ひとつとっても、こんなに違う。 住んで10年以上が経過しても
いまだに「へーそうだったの?」 と気づかされます。
一見そっくりだし、やたらと似たような言葉があるから同じだと勘違いしやすいのよね。
奥が深いぞ 韓国!!