韓国田舎の廃校(海里)2011.7
田舎の廃校を買い取った夫の友人宅を訪れた。
海の近くに廃校はある。 地名は海里だ。 韓国語でヘリと読む。
校舎にこんな文字が書かれている。
反共なくして統一なく、防諜なくして平和なし
昔の学校には必ず書かれていたスローガンだそうだ。
都会から訪れた韓国人が 「なつかしー」 という。
防諜というのは、あれですよね 、スパイを防ぐということで。
韓国は一度6.25動乱で韓半島中が、釜山の一点を残して
真っ赤に染まった国ですから。
ここは大分前に廃校になった学校なので
まだその字が残ってたようだけど
最近の学校にはこういうスローガンはもうない。
廃校には、なぜかこういう動物の置物がたくさんある。
カンガルーもワニも、ライオンもある。
この日は主人の友達達が
ソウルから訪れていた。
彼らはのんびりと、日傘をさして農道を歩いたり
自転車であちこちを巡っていた。
今ちょうど、こっちでは唐辛子の収穫期にあたっていて
赤い大きな唐辛子が鈴なりにぶら下った畑がたくさんある。
収穫している方たちは、もうほとんど老婆といっても良い年齢だ。
一つの畑に20人くらいの方が散らばって一斉に収穫している。
どういうわけだか、去年あたりから
収穫する人夫さんの上に、でっかいパラソルが広げられてて
しかも椅子つきだ。
それを移動させながらハルモニたちが収穫している。
写真をとれなかったのが残念だ。
カンカン照りの中で収穫する唐辛子収穫という仕事は
ハルモニたちに人気がないのか、労働環境が変化している!!
ソウルからの避暑客の話に戻る。
彼らは同じようにこう言う。
「いいところですねー、自分もこっちに住もうかな?
ここって一坪いくらなんですか?」 と。
私はつい即座に「やめといたほうがいいですよ!!」 と言ってしまう。
本気で彼らが言っているとは思ってないが、
田舎の生活というのは、いろいろ手間がかかるんだ。
どうしても手間ひま掛けて住みたいという人でなければ
やめといたほうがいい。
「おしゃれなカントリーライフ」には必ず裏方がいる。
ここには生ごみ収集車も来ないし
ちょっとアイスクリームが食べたくなっても、
マートは遠い。
それこそアイスから自家製で行くくらいの気でなけりゃ。
ガスが切れたって、すぐ配達には来てくれないし
停電だって、自分で治すくらいの技術がないと厳しい。
田舎生活は、生活費がかからないなんてとんでもない。
移動のためのガソリン代は都会以上だ。
しかも冬場の暖房費用はすごい。
なにしろインフラが集まっているところから外れているから
なにしてもお金が掛かる。
ここはソウルからバスで3時間半だ。
しかも町の中心地から外れているからプラス30分で4時間。
そのうえそのバスだって一時間に一本なんだから。
現にこの家を買って、ソウルとここを毎週のように
往復している夫の友人の顔には生気がない。
聞いてみるともともと体弱いんだそうだ、、、、
いくら田舎は空気が良いっていったところで
このいい空気吸うために、体壊してどうする。
たまーに来て、こうして田舎気分を味わったらいいじゃない。
こうやって田舎に拠点のあるいいお友達がいるんだから。
こんなことを書くと
「あんた田舎で暮らして苦労しているんじゃない?」といわれそうだ。
だから私はしょっちゅう夫に
「私は都会のほうが、ずーっと住みやすいけど、
夫が田舎で暮らしたいというから、泣く泣くついてきた
いまどきちょっといないくらい従順な良い妻なのよ!!」
ということを強調しては憂さ晴らしをしているのである。