扶安青磁博物館2011.8.20
娘の夏の宿題の一つが「歴史探訪」だったので
一泊二日くらいで、どこかに行く予定だったのですが
なんだかんだで当の娘が一番忙しい。
土日の彼女の予定がすでに埋まっているし、
平日は私も夫も講義予定が入っている。
来週の真ん中には学校が始まります。
距離を妥協し、日帰りで近場の博物館に行きました。
私の住む全羅北道コチャン郡に隣接する扶安郡に
今年できたばかりの「扶安青磁博物館」 です。
外から見た姿、 博物館全体が、陶磁器のかたち
大人が3000wで、子供が1000wです。
7才以下は無料。 郡立なので、安いです。
(私の地元徳島県の大塚美術館は大人の入場料が3000円でした、、、 敷居高いぞ!)
ちょっとした壁のデザイン、いい感じで。
この壁は一枚ずつ全部違う青磁の模様でした。 すごい!!
まずは、歴史コーナーへ
新石器時代です。
青銅器時代
だんだんと形が多様になります。
鉄器時代
といっても、どうも、このあたりは、かなり曖昧らしいです。
いつから青銅器時代が終わって、鉄器時代が終わったという区切りは難しいので。
韓半島の三国時代
で、統一新羅時代と言いたいところですが
ここは北の渤海を念頭において
南北国時代 と表記されてます。
そして陶磁器の様子ががらりと 変わるのが この次の時代からです。
高麗時代です。
華麗な青磁が次々とつくられた時代に入ります。
そして、
朝鮮時代です。
この扶安に「青磁博物館」が作られたのは
この土地に、青磁づくりの窯が多く所在し
ここで作られた青磁が、韓国の西海岸を北上し、ソウルに送られてきたという歴史があるからです。
王族に献上する青磁なども、ここから運ばれたそうです。
青磁づくりの条件は
まず、窯に火をくべる材料となる「焚き付け」に不自由しない土地であること。 (製鉄と同じですね)
水と土の質が良いという自然条件が整っていること。
そしてそれを運搬する水路があることが望ましい(陸路で行くと陶磁器が破損しやすい)
ということらしいです。
ですから
これが 韓国の主要高麗青磁窯分布図
らしいのですが、やはり、海岸線の近くだったり
内陸部であっても、水路のある地域が多いそうです。
現在は水が届いてなくても、何百年前には水路での往来があったところだそうです。
それもないところで窯が発達するとしたら、
周辺地域に限定した生活陶磁器の生産地に限られて来るそうです。
この扶安とコチャンの主要窯もやはり水際にありました。
現在と違い船での移動が中心だったので
陸路と同時に歴史研究には水路の存在が欠かせないということでした。
ですから古地図の研究が必要になるし
と地理学って切り離せないんだ
と、横でうちの旦那が言ってました。
確かに日本の古代史をみても、
水路の利権がいつも大きな問題となってきたはずです。
この地図の上の部分が扶安郡、下の部分が コチャン郡です。
左端の白い角は、以前紹介した海里の塩田です。
これは元々日本人の「森さん」という方が最初に手をつけた塩田だそうです。
フルネームが分かったら紹介します。
それを、韓国解放後、ある韓国人が買い取りました。
韓国人だったら誰でも知ってる有名私立大学と大新聞社と大企業の元になりました
青磁製作の過程の展示です。
土を掘り出して
青磁製作に使えるように、こねて、
形を作って
成型して
模様をかいたら (この人、手が動くんですよ!!)
うわぐすりを被せて
窯で焼く
火加減が大事らしい
焼きあがった青磁を選別して
しっかり梱包する。 割れたらおじゃん!
そしてそれを船に積み込んで
拡大してみると
船底にぎっしりと積み込まれた青磁。
韓国西海岸を北上して、青磁は都に運ばれる。
ここで、夫から
「ちょっとこれ見てみろ!」と呼ばれる。
韓国の船と日本の船の形の違いだ。
一般にこういう形を船底型と言うと思うが
古代、日本の船の船底は韓国の船にくらべて、尖っていた。
船底の角度がきつい場合、速度が出やすいという長所があるそうだ。
しかし、それは水深が十分にある場合のこと。
そういうきつい角度の船底をもった船が
陸地近くまで誘い込まれ、潮にさーっと引かれてしまったらどうなるか?
当然身動きがとれなくなるのだ。
先日、子供達の写真をとりに砂浜に乗りつけた乗用車のように。
韓国の海岸線は干潟の面積が広く、
潮の満ち引きが急激なのが特徴だ。
西暦663年「白村江の戦い」に百済を助けるためかけつけた倭の救援軍の船が
結局、新羅と唐に絡めとられてしまい、
身動きの取れなくなった倭の船が挟み撃ちになり、火矢の餌食になったのは
この韓国の地形の読みが甘かったのと
地形に合わない船で参戦したということが大きいと、夫はいう。
というレクチャーを受けて、次のコーナーへ出発。
青磁クイズコーナー
画面に問題がでて、司会者まで、前に立ちます。
このカメラマンさんは 人形。
本物のテレビ番組みたい。
こういうの 子供は楽しいらしい。 うれしそう。
これは 4D映像館 だという。
3Dじゃなくて4D?って
と思ってたら、椅子全体が動くそうで、体感を加えるということで4D。
身長制限があります。 120センチ以上でないとダメ。
ジェットコースターみたいですね。
手でめくれる巨大電子図書とか
3D映画は、もう勝手にみてねって感じで フツーにそこいらへんにめがねが置いてある。
現代陶磁器作家の作品も
別コーナーに展示されていた。
これ陶磁器? って感じですが。
走り走り、見て、 途中で夫の膨大な説明を聞かされて、
なんだか分からずに通り過ぎましたが、
陶磁器好きな方なら、おもしろいのではないでしょうか。
場所は全羅北道扶安郡 、ソウルから車で3時間半です。