ハルメッコ2011.11.
[ハルメッコッ]
韓国の昔話です。
親孝行の話が多いのではという韓国の昔話のなかで
これはちょっと異色なのかもしれませんが、
「女性の辛さ厳しさ」という韓国の現実を
よく表した昔話です。
ハルメッコ
3人の娘をもつある寡婦が住んでいました。
よその家の洗濯や繕い物をして
一生懸命三人の娘を育てました。
娘たちが大きくなってお嫁にいく年頃になりました。
母親は一番上の娘に 「どんなところにお嫁にいきたいのか?」と聞くと
「お金持ち!」と答えたので
お母さんは一生懸命働いて嫁入り支度をし、お金持ちの家に嫁にやりました。
二番目の娘は 「学者の家じゃなきゃ行かない!」というので
やはりお母さんは一生懸命仕事をして
学者の家に嫁がせました。
三番目の娘は「私はなんにもいらない。
心根のいい百姓の家に行くから」といって
嫁いでいきました。
娘たちが去った後もお母さんは一生懸命に働きました。
働きすぎて腰がまがったおばあさんになりました。
時々三番目の娘が訪ねてくるものの、
上の二人は一向に顔を見せません。
娘たちに会いたくなったおばあさんは
娘たちを訪ねていきます。
一番上の娘は
「なんだってこんな日に来るのよ!
今日は祭事だってのに!
ごはん一膳食べたらさっさとかえってよ!]
二人の目の娘は
「なんだってこんな日に来るのよ!
今家族全員風邪で寝込んでるってのに!
水一杯飲んだらさっさと帰ってよ!!」と。
おばあさんは三番目の娘に会うために、雪の夜道を急ぎます。
そこで転んでしまい力尽きたおばあさんは、そのまま息を引き取ります。
おばあさんの家に向かって歩いてきた三番目の娘が
雪の中で冷たくなったお祖母さんを見つけます。
「オモニ!!!」
三番目の娘はお祖母さんの亡骸を暖かい山の斜面に埋めました。
そして、何かある度におばあさんのお墓をたずねていたのですが
次の春のこと、おばあさんのお墓に見たことのない花が咲きました。
その花はおばあさんが生きていた時の姿そっくりに
腰が折れ曲がったような姿で咲いていました。
それからその花は「ハルメッコッ」(おばあさんの花)と
呼ばれるようになったそうです。
これはですね。
もう、私なんかからしたら、これこそ涙涙なんですよ。(。>0<。)
夫の母である義母はまさにそういう風に生きてきた人で
子供たちのことだけを考えて、
夫の扶養を全く受けられずに、
それどころか義母なんかの場合
夫に殴られてましたから、(うちの夫の証言によると毎日だったそうで)・°・(ノД`)・°・
それでも畑にわずかの作物を植えて、
家族を食べさせてきたうちの義母。
子供たちがもう立派に成人して、孫がいる年齢になっても
働くことをやめずに、
毎日毎日時間さえあれば暗くなるまで畑に出ている人でした。
畑にちょっとのすきまがあれば、豆をうえたりゴマをうえたり。
夜は夜でそれを選別して。
そういう風に生きてきた
オモニは、「遊ぶ」ということを知りません。
もちろん義母の腰はいつも90度に折れ曲がっています。
結局、足の関節にあるクッションの役目をする
ゼラチン質のようなものはすでに無くなってしまい、
歩く度に痛みを感じるそうで、
ここ何年かお母さんの足に人口関節をいれるかどうかを
親戚で話し合っていました。
耳はもうほとんど聞こえなくなって、
人とのコミュニケーションがとれません。
お母さんは字を読めないので、筆談もできません。
去年義母は風邪をこじらせて何ヵ月も入院しました。
退院したその日に、家中のごみをあつめて燃やそうとしたところ
風で廃屋に火が飛びうつり、廃屋が家事になりました。
それを消そうとしたお母さんが転んで腰と腕を骨折しました。
ようやくこの秋に退院できるかというところでしたが
一日たまたま家に帰ってきた時
目についた大量の玉ねぎを動かして
せっかく手術した腕がまた動かなくなり
先週人工骨をいれて腕の再手術をしました。
子供のためだけに身を粉にして働いて生きてきて、
もうそれをしなくてもいい年齢になっても
他の生き方を知らないので、
やはり同じように生きてしまい
体を悪くするという悪循環にいます。
そしてそうなると、いままで育ててきた息子娘が
かいがいしく看病するかというとそうではなく
「邪魔物扱い」を始めました。
お母さんが邪魔というより、お母さんがこうなってしまうと
ものすごく「お金」が掛ってしまうことが
子どもたちには負担なのです。
私も一番近所にいる「嫁」という立場で、
どれだけこの義母の世話ができたかということを
親戚にいろいろ言われる立場でして、
そのへんとてもしんどいです。
この「ハルメッコッ」全然むかしばなしじゃないんです。
田舎のおばあちゃんたちは、みんなこうやって生きてきたようです。
だから冬の道で冷たくなって死んでしまったこのハルモニの話に
私は自分の義母が重なって涙がでました。
あまりにも自分を犠牲にして生きた韓国の女性たちの現実
その時代の女性は、そういう生き方しかしらなかったから仕方ないんだ。
もう少し下の世代ではよくそういう風に言われます。
私はその是非に関しては、どうにも言えません。
ただ、悲しくて、悲しくて、、、
そういうある面での韓国の現実だと思います。 (えみこ)