中国人ママたちの葛藤2012.4.8
一般に中国人は「教育熱が高い」と言われるようです。
現在『一人っ子政策」のせいもあり
小皇帝をなんとか『勝ち組」にしたい中国の親の熱意が
いろいろ報道されていますね。
それはもうすでに韓国以上だとか。
では韓国にお嫁にきた中国人もそうなのか?
ママが中国人だと子供にむちゃくちゃ勉強させるのか?
私の知る限りにおいてですが
これも二分化の様相を見せていて
それこそ『殴ってでもやらせる」中国人のママ(タイガーママでしたっけ?)タイプと
「できるわけないじゃん」ママに分かれているようです。
「中国」という国と『韓国」との関係は
そう単純なものではありません。
お隣の国、それも地続きの。
長い複雑な歴史がこっちにもあります。
私が韓国に住むようになって一番びっくりしたことのひとつは
韓国人がものすごく中国人を馬鹿にする!
ということでした。
これには本当にびっくりした。 ええーっ。
ですから地方、特に農村部で日本人が子育てにおいて
「日本語」を子供に使用することを
同居のお年寄りたちが嫌うという
風潮がかつてあったようですが
それ以上に
中国人ママが「中国語」をつかって子育てをするということも
難しかったようです。
また中国人ママたちと話してみると
少なからず『韓国人に馬鹿にされた、、、」という
経験談がでてきます。
もうそれは「涙」の話です。
私の町で移住女性の二世に対する『中国語教室」が
開催されても、一番の対象者である中国人二世の参加が少ないそうです。
外国語教室運営には
多文化政策のガイドラインにのっとった規定があります。
そのなかに「多文化家庭の子女が何%含まれていること」と
いうのがあるそうですが、現在うちの町では
「中国人子女」がその数を満たせない状況です。
一口に『中国人」と言っても
彼らが「朝鮮族」なのか「漢族」なのかによって
大きな違いがあります。
「朝鮮族」というのは、もともと中国にいても
韓国語を使用し、食事も中国式と韓国式の
両方を取り入れてきた人たちです。
韓国語がものすごく上手な人もいて
「韓国人じゃなかったの?」レベルの人もいれば
すごく中国語アクセントが強い人もいます。
でも、大体の方が「韓国語」の意思疎通には不自由がありません。
しかし!漢族、というのは、「韓国語」を
習得することからして大変なようです。
ものすごく韓国語が支離滅裂なので
「韓国に来たばっかりなのですね」と聞くと
「いえ、もう韓国15年です!!」
という人がいたりしてびっくり。
そして、言葉以上に、この「韓国」という国の風習に
いつまでたっても「肌が慣れない」 ということが
彼女たちの語学上達の道を妨げているような気がする。
先日、多文化家庭センターに用があって立ち寄ったとき
漢族出身の韓国生活5年目の女性が
手にいくつかのお菓子を持って部屋に入ってきた。
調理実習で作ったものを分けてもらったそうだ。
その部屋には20代のベトナム人のお嫁さんが三人
30代前半の中国人が三人
そして、私を含む40代以上の日本人が三人すわっていた。
お菓子を手にした彼女を入れて10人
そして皿には、お菓子が8つしかなかった。
「アレー こんなにたくさん人がいるとは思わなかった!」
私が「人数分あるの?」 と聞くと
彼女は「ない!」と言いながら
一番にお菓子を自分の口に放り込んだ!
この状況で、韓国では
まず「年長者にお伺いを立てないといけない」
「お姉さんたち食べますか?」と。
こっちも、さっと見て人数分なければ遠慮するか
欲しければ適当に切り分ける。
欲しくもないけど、聞かれもしないのは気分が悪い。
ということを、
私は嫁に来た当初、義父母との関係で叩き込まれた。
「食べても食べなくても、目上の方の気持ちを伺うことなくしては
こっちにまわしてはいけない」と。
それは、日本でもかなり当たり前のことだ。
私の実家には同居の年寄りはすでにいなかったけど
まずは「お仏壇」にお供えすることになしには
何も口にすることはなかった。
私は韓国にきてから
「ああ、義父母は仏壇だと思えば、
とりあえず大丈夫そうだ」と思った。
朝一番のお水にお線香
炊き立てのご飯。
そしてよそ様からの頂き物。
まずは仏壇、いやいや義父母。
そういう意味で、韓国に嫁いで苦労するといっても
「濃度が違うため」のバランスのとり加減であって
韓国では物事の中心に「家庭の中心者である義父母」が色濃くいる
ということを忘れさえしなければ、それほどのトラブルはないと思う。
感情的にそれが受け入れられるかはまた別の話だけど
その筋を守って発想し行動する限り、
それほど大きな失敗はしない。
ホントは「仏壇」イコール「義父母」じゃないんだけど
義父母と深く関わっていれば、
その違いはちゃんと微修正を繰り返すことができる。
だけど、聞きもしないで、
最初に自分の口に放り込んだ中国人の彼女は
多分、それが分かってない。
ここでやってるだけじゃなくて、多分家庭でもやってる。
そしてそういうことを無神経にやっていると
非常に親戚からの風当たりが強い。
言われなくてもいいことで責められたり非難されることになる。
韓国人が気にするラインを踏んでいるということで。
結局中国人の彼女にとっては
「韓国人は理解してくれない
韓国人に馬鹿にされた、、、」
に終わってしまうことがあるだろうと思う。
文化の中心においている価値が違うためにおきる葛藤である。
中国という国も、この何十年か「精神的支柱」のはっきりしないこと
この上ない。しかも今では資本主義路線まっしぐらである。
若いベトナム女性になるとそういう葛藤があまりないようで
彼女たちは韓国語習得の期間も短く
覚えた韓国語も上手に使いこなし
料理にしても親戚づきあいにしても
私の周りのベトナム人はうまいことこなしている。
だから「ベトナム女性は良い!」と韓国でうけて
その結果ものすごい数が流れ込んできているのだけど。
先日知り合ったネパールの女の子もいい感じだった。
それでも、やっぱり現在のところ韓国の古手の「移住女性」は
日本人と中国人である。
一概に韓国における「日本人嫁」の評判は悪くないようだけど
日本人も実はいろいろである。
中国人は
「韓国に嫁に来てもすぐ逃げる」!
という評判が立って久しいが
それでも私の友人の中国人みたいに長年がんばってる人もいる
あっちもいろいろだ。
私もあんまり「中国人は」とか「ベトナム人は」とかの枠にはめずに
人をみないとなあと思いながらも
でもやっぱりその人が育ってきた文化的土壌の影響って
大きいよなあと思わざるを得ないところもあります。
「総合的判断」 を心がけていますが
難しいですねえ
なんたって、理性で「総合的判断」しようとしても
私なんかまず「感情的判断!」が先にたって
「好き!」か「嫌い!」の
色眼鏡を振り落とすのに苦労してますからね
しかし実はこの色眼鏡、そう不確かでもなく
「好き」「嫌い」って、結構信頼性のある指標だとも思えるので
まじめに振り落とすこともできないのです。