大人ってたいへん(キムジャンに関して)2012.11.24
現在、キムジャン二日目、
塩漬けにした白菜がつかるのを待機中。
午前中は家で一つくらいは翻訳の仕事ができるかと
一旦家に戻りました。
午後から白菜洗いに来ますからねーと。
いうことで、今は家でパソコンの前に。
さてさて、今までアップしたように
キムジャンというのは
大変お金が掛かり
また、人手がかかります。
キムジャンのお手伝いに来てくれる
近所の人とか友達は
「いくらくれ!」とは言いませんが
こうしてキムジャンを手伝ってもらったら
逆にそっちの家のキムジャンの手伝いに行ったり
(こういう仕事の仕方を田舎の農業でプマシといいます)
そうでなければ、キムジャンの責任者は
その協力人員たちに、御礼をします。
お金以外のもので。
最近では最初から「一日いくらで来てくれ」と呼んだり
「一日いくらで手伝うから」とパート仕事として
キムジャンに行くアジュンマたちもいますが、
韓国の「地縁・血縁」のみせどころキムジャンでは
もともと「お金」でのやりとりはなかったようです。
うちの夫の姉さんのキムジャン、
今年は量が減ったとはいえ
去年まではそうですねえ、
入れ替わり立ち代り多分10人くらいの友人・知人が
手伝いに来てくれていました。
皆さんプロ主婦なので手が早く
私は親戚身内の立場なので
どうもありがとうございます。
うちのキムジャン手伝ってくださってという態度で
感謝して接します。
いや~なババアに、むっと来るようなことを
言われることがあったとしても
絶対ケンカしたり言い返したりしません。
キムジャン要員なしでは出来ませんから。
「笑って受け流す」だけです。
親戚のパワーバランスの前では
一旦自分の自尊心はお預けです。
自尊心は、横においといても腐らないから。
じゃあ夫の姉さんが、この人たちが友達だからと
手ぶらで返すかというとそれもありません。
まず、キムジャンの時のご飯の準備。
これはもう当然中の当然。韓国の常識。
韓国では土方であろうと、農業であろうと
仕事をしてくれている人の食事は当然!
仕事主が面倒を見るのが不文律ですから
キムジャンしている間の三食はもちろんのこと
間にたくさんおやつの差し入れがあります。
日本に土方仕事に行った韓国人が
日本の工事現場では「弁当持参」で
働いてる!ということを知って
すごく驚くようです。
多分去年、フルタイムでキムチを漬けてくれた人たちには
姉さんは最後に布団をプレゼントしてたと思います。
別に布団でなくてもいいのですが
ある程度の大きさがあって
ある程度、お金がかかってると分かるものが
田舎では重宝されるようです。
それを一度にやるときもありますが
小分けにすることもあって臨機応変です。
でもキムジャンの総領となると
下で働く人のことは
『自分の責任!」として
当然!
面倒をみないといけないという思いがあるので
お腹はすいてないか、寒くないか、
気分よく帰ってもらったか?
あんたの家のキムチはあるのか?
なければもってかえって食べなさい!
という日本語の「気配り」という言葉だけ
ではとてもあらわしきれないような
あまりにも幅広くかつ濃厚な配慮をするものなのです。
キムジャンの総領は。
私はこれをみながら
「うーん。私には無理だ!」と常々思っています。
こんな高度なこと出来ないよ。
わたしにそんなこと期待してる人も、
まず誰もいないだろうけど
できませーん!ごめんなさいって感じです。
私の家は、キムチの消費量が多くないので
姉さんの家からもらって帰るキムチは
一年でも、タッパー二つくらいです。
でも近所にある夫の姉さんの家が、
そこまで盛大に近所の人まで巻き込んでの
オオゴトになってるのに
親戚としては
もちろん黙ってみてるわけには行きません。
どうもそろそろ始めそうだな、、、この天気、、、
という匂いがしてきたころ
私は普段はそれほど足を向けない姉さんの家を
ちょくちょくと訪れます。
直接聞いて、、かつ家の貯蔵庫と
冷蔵庫にある材料を見ては判断します。
そろそろだな、、、と。
とにかくキムジャンは冬前の一大イベントなので
これを自分の都合で、勝手に『無視」してしまうと
地縁社会では、大変生きていきにくくなります。
私は「心がけのよい優しい伝統を守る主婦」なのではなく
日常生活のサバイバルに関心のある主婦なんです!
今回のキムジャンは、
量が減ったのに伴って
「お手伝いさん」も減って
結局昨日は、
私一人でたまねぎとネギとゴマなどの
下ごしらえ品に
黙々と手をいれていました。
そうすると、帰るときに姉さんが
「ちょっとちょっと!これ着てみて!」
と呼びます。
姉さんのご主人さんが
光州にある新世界百貨店で
姉さんに似合うと思って買ってきた
冬のパーカーらしいのですが
、
サイズがちょっと合わない
色目が自分の好みじゃないということで
私に「これ着なさい!」と
言って持たせてくれました。
これです!
嘘みたいに私のサイズにぴったり。
確かに姉さんには袖がちょっと長いかも。
「いいんですか!これ大好き!
嬉しいです!ガンガン着ます!」
という感じです。
この冬の相当なヘビーユース確実。
私がとても好きな色。
またとても生地が良い素敵な服でした。
気に入らないなら返品すればいいのに
台所でせっせと材料に手をいれて
無口に手伝ってる私を見て
夫の姉さんが、私に着せようと思ったようです。
「あんたは、自分とこはそう大した量のキムチを
食べもしないのに、
うちが大変なときは、こうやってマメに気をつかって
手伝いに来るよね」
といったりきたりしながら
姉さんは何度も私に言いました。
私は素敵な冬のコートをゲットして
ホクホクなのですが
立場を変えて考えると
こうやって、たかがネギの皮剥いてるような弟の嫁の
服のことまで気を使ってあげないといけないような
そんなキムジャンの総大将の立場の大変さというか、、
もうそんなすごい立場の後継者なんて
これからもうこの韓国で継承するの無理だってばー!!
と思うんですよね。
私は、たまーにこうやって
ここぞというときだけ(一族の行事で)
ちょっとだけ頑張ると(あとは好き放題に生きている!)
いつもこうやって夫の親戚が褒めてくれて
アッチでコッチで、「えー嫁や!」と吹聴してくれます。
なんか、こんなちょっとの頑張りで
こんなに褒めてもらって
こんな素敵な服までもらっちゃって
さーどんどん頑張るぞー!
白菜の水あらいどーんと来い!
と嬉しくなりました。
(でもこれ終わったら腰痛が来るんですよ、、まじで)
まあ、こうやって作業する人の気持ちまで
「気分良くアゲさせる!」という
さすがに高度なテクを持っている
韓国人のプロ主婦たち!キムチ棟梁たち!
頑張ったことをスグに認めてくれて
褒めてくれて、またモノですぐにプレゼントする!
「気持ちを表現することがストレート」だから
もうダイレクトなんですよ これが。
韓国で住んでて嬉しくなる瞬間でした。