モンスター2013.3.15
日本で今一番注目されてる作家さんの一人
百田直樹さん。
2013年の頭は
書店にこれが平積みになってましたね。
- 海賊とよばれた男 上/講談社
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
これは相変らず
大人気のようですし。
- 永遠の0 (講談社文庫)/講談社
- ¥920
- Amazon.co.jp
もともと大阪の放送局の放送作家さんで
一体どれだけ『書くことの引き出し」が多いのか
一作ごとに
作風が違うというのも
この作家さんの魅力のようです。
しかし、私の友人が「永遠のゼロ」に感動して
買ってみたところ
あれれ??と思ったのが
これだったそうです。
- モンスター (幻冬舎文庫)/幻冬舎
- ¥760
- Amazon.co.jp
そのお友達が「もうこれブック○○に
売ろうと思ってたんだけど
良かったら読む?」
といったので、ありがた~くもらって来ました。
実は私も「永遠のゼロ」後、
この人のをいろいろ読んでみたくて
これ買ってみたのですが
「風の中のマリア」
- 風の中のマリア (講談社文庫)/講談社
- ¥580
- Amazon.co.jp
うーん。蜂の生態がすごくよーく分かりました!
実は期待してた「永遠のゼロ」系の雰囲気が
まるでないのが
いっそすごい。
「モンスター」は
「美」にまつわる壮絶な話です。
ネタバレありで書くと
主人公の和子の容貌は、ちょっとどころではなく
誰もが『醜い」と目をそむけるような容姿だった。
もうそれはずっと小さい頃から。
彼女が高校にあがる頃には
もう自分が『女性としての期待をもってはいけないんだ」と
いうことが、身に沁みるほどの辛いことが
すでに彼女にはたくさんありました。
彼女は、高校のとき、好きだった男子の酒に
失明する可能性のある薬を入れ込むという事件を起こして
田舎町にいられなくなり、都会の短大に出て行きます。
東京にいったところで
彼女の状況が変わるわけではありませんでした。
そこは田舎以上に『美人に価値のある町」でした。
卒業後は和子は工場に勤め、その給料で
整形手術をします。
しかし目を二重にしたくらいでは、終わらない。
彼女の整形願望はどんどんエスカレートし
その資金をつくるため、夜は風俗で働こうとします。
しかし彼女はその容貌ゆえに
風俗での働き口さえ、見つけることが難しい。
ヘルスでの就職をもとめて入った店では
「おまえみたいなブスがやれる商売じゃないんだ!」
「おまえこの業界を舐めてんのか!」
なんとか働き口を探し
まとまった金額を作っては
鼻を直し
口をなおし
輪郭を直し
体にまで手を入れていく和子
美しくなるにつれ、
風俗での仕事もだんだんとランクアップし
最後には高級ホテトル嬢になる。
完全な美貌を手に入れ、まとまった資金を作った彼女は
生まれ故郷に帰って
レストランを開店した。
そして昔、彼女を嘲笑った一人一人と
関わりながら、結果的に彼女は
復讐を果たしていく。
というストーリーです。
しかし、この和子が、昔の恨みを晴らしながら
スカッとしてない姿が
これまたよく描かれてましてね、
昔自分に『バケモン」だといってフッた男たちが
「超美人」になった和子に言い寄ってきて
和子は彼らを痛い目にあわせていくのですが
そこに彼女の「喜び」がない。
読んでいても読者が「よくやった!」と思えない。
自分でも「もう自分はどこか壊れている」と
自覚しながら
和子は辞められない。
私にこの本をくれた友人は
「もう!読後感最悪!!」
と言ってたので、
一体どれくらい「最悪!」なのかが
興味シンシンで読みました。
ちなみに私個人の読後感最悪はこれ
- 告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)/双葉社
- ¥650
- Amazon.co.jp
いやあ、重い話でしたねえ!!
さて、大雑把に「告白」の主人公の僕
そして、上記のモンスターの『和子」
彼らの成長後の歩みが
周囲の人にも
そして本人にも
幸福感をもたらさないのは、、、、
彼らが、幼少期、一番受け止めて理解されたかった人
つまりは「親」、そしてたいていは『母親」との問題が、
成長後もあとを引いているからです。
和子が、整形の過程で
一番ショックを受けたのが
「こんな、8万円の手術を受けるだけで
こんなになるのに、、、」
自分の化粧品には何万円もつかうのに
娘のためには一円も使ってくれなかった。
父親は250万円の車を買えるのに
娘のためには、、、
美しくなりながら、ますます親への恨みが募る。
親との関係がその後の人生を決定付けた
という意味では
これなんか、その代表作でしょう
東野圭吾の「白夜行」
- 白夜行 (集英社文庫)/集英社
- ¥1,050
- Amazon.co.jp
(以下ネタバレあり!)
なんたってこの主人公、小学生のときに
母親に売春させられてますからね!!
成長後の犯罪にまったく歯止めがかけられません!!
彼女、雪穂ちゃんは美しすぎて、こうなったともいえますが。
以前、「ビューティーコロシアム」という
整形を番組の中心に
もってきた日本の番組がありましたね。
容貌のせいで、苛められたり
就職先で偏見を受けたり、、
そういう辛い過去をもった人がでてきて
主に整形で「美しくなる」番組でした。
きれいになった主人公が
家族の前に、現れて如何にきれいになったかを
披露したりする場面があるときがあります。
私がホントに不思議だったのが
この家のお嬢さんが
こんなに!こんなに!
容貌のことで苦しんでいたのに
(多分それは「モンスター」にでてきた「和子」と
似たような苦しみ。 )
親はなんで、なんで?なにもしなかったんだろ??
整形とまでは行かなくても
なんか方法を探さなかったんだろうか??
ということでした。
だって、そこに登場した人たちが
口にした自分の苦しみは
ちょっと人に『ブス」とか言われるくらいじゃなくて
「人じゃねえよな」
「しゃべったら腐るぞ」とか
「一緒の空気吸いたくねー」レベルのいじめなんです。
私がもし、子どもがそこまで「容貌」で苦しんでたら
迷わず「整形」を考えるだろう
というのは私の方が変わってるんでしょうか??
私が知ってる韓国人のあるママには
「わきが」がありました。
彼女は彼女のママ(実の母親ではない)に
「わきが」の手術を受けさせてくれと頼みましたが
ママは「長男」のことにはお金を出すことを惜しまないくせに
「わきが」の手術代にはノーと言いました。
彼女は高校を中退して、働きに出ました、、、、
自分の『わきが」が気になって
学校に行けなくなってしまったからです。
まあ、私がママをやってるせいで
何読んでも「親子関係で読み解く!」が
習慣になっちゃってる部分もありますが
やっぱり『この人がこうなった」の根本の部分で
親子関係が大きく影響しているのは間違いない
だから 私がママでいる間(いや子が成長しても一生ママか、、、)
手元に子どもがいる間は
ちゃんと子どもの情動に関心をもてるように
生活したいなあと思っているのですが
実はわたくし、うちの長男ハンギくんから
昨日眠る前、
「おかーさんはなんで弟ばっかり可愛がるわけ!!」
と一時間くらい責められました、、、
「おかーさん、弟ばっかり可愛がってるつもりはないんだけど、、、」
と言い訳するのですけど
彼の目には
「自分はあんまり大事にされてないじゃないか!」と
映っているようでいつも怒られます。
「だってスンギくん可愛いし!」
とか言ったら
火に油なので、だまってます。
「はい、はい。ごめんなさいね
気の利かない親で、、、」
と私も良くわかんないままに謝っております。
まあ、とにかくちゃんと育てたい!
って思ってるはずなんですけど
当の息子たちからの評価は高くなかったりするんですよね、これが、
もう黙っておいしくごはんつくっていよう、、、、