今回のトピックは 韓国の教科書ではなく 「韓国語の教科書」です。
今日は生徒さんの体不調で授業が休みになり時間ができたので、
書き溜めていた記事をアップしています。
私達のように、外国からお嫁にきた人たちは
現在韓国で 「移住女性」と呼ばれています。
日本人は、いまやその中では少数派になりつつあり、
押し寄せるベトナム人、中国人たちが半分以上を占めるようになっています。
確か去年の時点で、韓国に16万人の移住女性がいると発表されていました。
このベトナム、中国等(カンボジア・モンゴル・フィリピン、ネパール)の
農村からくるお嫁さんたちは、20代前半の人が多くて
小柄な方たちが多いせいか、集まっていると女子大生の集まりか?と錯覚するほどです。
年の若い彼女達が韓国語を勉強するのに、いろいろと困難がある。
彼女達がちゃんと韓国に適応できないと、将来的に韓国に及ぼす影響が大きいということで
国が「多文化家庭政策」というものに何年か前から力を入れはじめました。
韓国各地に「多文化家庭支援センター」というものができて
そこでいろいろな事業が行われています。
言葉が遅い子供達の言語治療だったり、お母さんの母国語指導だったり。
現実と机の上の政策にはいつもズレがあるので、
100%役に立ってる!とはいえないかもしれませんが
韓国政府がこの問題に正面から取り組もうとしている姿勢は評価に値するでしょう。
私は以前そこで「韓国語指導教師」として働いていました。
移住女性が住んでいる地域が、町の真ん中じゃなくて、農村の場合が多いので、
先生が車で生徒の家まで出張して教えるというスタイルで運営されていました。
そのとき持たされたのが、この教科書
中級の本を開けてみましょう。
お嫁さんの国籍は、フィリピンのようです。 名前はジャネット。
義母(シオモ二)との対話です。
ジャネット: お義母さん、夕食何にしましょうか?
義母: そうね、 うん、テンジャンチゲがいい。
ジャネット: テンジャンチゲ? どうやって作るんですか?作ったことないです。
義母 : まず、鍋に、水といりこを入れて沸かす、
湧いたらいりこを取り出して、味噌を入れる。
ジャネット: あ、はい。
義母 : そのあと、ホバク(ズッキーニ)としいたけと 豆腐をいれて。
ジャネット: にんにくはいれないんですか?
義母: 10分くらい煮立ててから、ネギと一緒にいれたらいい。
という本文なんですが、このジャネット、韓国語も上手で、他の移住女性の世話も焼き、
すでに子供もいるという設定で話が進んでいるのです。
そのジャネットが こんなこと聞くか!?
だいたいこのテンジャンクの作り方も雑。
これを監修した人はまともな料理もしてないんじゃないか?と思った。
しかもこの本には音声教材がない!
音声教材のない外国語教科書っていまどきあるか?
しょうがないのでうちの娘に喋らせて録音した音声CDを自作した。
ジャネットの夫が出てくるところには息子を使おうとしたが、
逃げられたので娘に声色を変えてやってもらった。
移住女性を馬鹿だと思ってんじゃないの? なんかなめてないか?
こういう教科書の記述をも見る度に私は思った。
私がこれを教えにいっていたベトナム人は年は若いが
キムチは何種類も漬けることができるし、義母と同居していてお世話していた。
その気配りと生活能力は最近の韓国人20代女性より、ずっと上だった。
年が若いから、モノを知らないんじゃないし
年寄りだったら、社会に関心がないわけじゃない。
韓国語能力が劣っていたとしても、知的能力とは別の問題である。
移住女性に対する根深い偏見を感じた。
多文化センターで働いていたとき、
移住女性の生徒さんたちとの関係では、それほど大変なことはなかった。
韓国語の発音が完璧ではない私は、いつも音源を持ち歩いてカバーしていた。
他の教師より荷物の多い先生ではあっただろうが
その熱意だけは伝わったらしく、
そのときの生徒さんは今でも時々我が家に遊びにきてくれる。
しんどかったのは、同僚の韓国人教師たちとの付き合いだった。
「移住女性達ってこうよねー!!」という彼女達の意見に私は同意できなくて
でも、それを反論するとき、どうしても、彼女達韓国人女性のアイデンティティに切り込むことになる。
大体ここまで韓国に移住女性が急増したのは、
結婚できない農村の男性があまりにもたくさん存在したからだ。
彼らの多くは農業従事者であり、老親との同居が結婚の前提になっている場合がある。
韓国内で、そういう条件の悪い農村にお嫁にいく女性がいないので、女性を輸入しているのだ。
これは人身売買だとはっきり批判する人もいる。
多文化センターで仕事するのが苦しくて、あーしんどいと思っていた頃、
ちょうど、国の方針で福祉財源カットとなり
新規採用の韓国語教師が全員リストラされたので、放免となった。
現在、多文化センターとは、つかずはなれずで付き合っている。
久しぶりにセンターに寄ったら、新しい教科書が出ていた。
国が出したものではなかったが。
2011年の春の出版だ。
内容がすごく良くなった。
こんな内容があった。
義父、義母、夫の姉、夫の兄、、、、その他の人間関係を 書き出して
「私から見たときの呼び名」 「彼らが私を呼ぶときの呼び名」を書き出す。
こういうのは移住女性の実情に合ってる。
移住女性が鼻で笑っちゃうような、料理の作り方を書かせるよりも。
こっちはまた別のところから出ている移住女性用の韓国語教科書。
移住女性の母国語での読み仮名が付記されている。
だいたいこういうものには「日本語版」は作られないので、日本語版はなかったが。
とにかく韓国は、「やろううかやるまいか?」で踏みとどまることがあまりなく、
「とにかくやっちゃえ!」の面が強い国です。
その結果、移住女性政策も、随分とよくなり、細かい対応ができるようになっているようです。
なんせ、これみてくださいよ
これは移住女性用の教科書じゃなくて
子供の教育に関するテキストですが(厚さ一センチ前後、全文ほとんど文字だけ)
一番上にある本の題名が 「小学校4年生で必ずしなければならない63のこと」ですよ。
ということは、下積みの本は当然
『小学三年生で、、、、」
「小学二年生で、、、」
「小学一年生で、、、」
で一番下の本は「一歳になるまでに、、、」でございます。
内容としては日本の「し○だ」や「く○ん」の焼き直しか?
と思える内容が含まれていますが、ここまで教育というものに正面きってとりくむと
それでも見えてくる内容ってあるんでしょう。
日本人が、韓国でオンマをやるということは、かなり大変なサバイバルです。
なにせ、こちとら、のんびり日本国からやってきた人間ですからね。
それも一番いい時代しか知らない世代だし。
異文化に飛び込んた、ジャブン。あー泥水飲んじゃった!
みたいなことが、いくつもありました。(わたしだけ?)
そのおかげでブログのネタには困らないのですが、
読んだ方が「えーそーなの!!」ってびっくりするようなこと
今まで、韓日関係を書いた本のどこにも載ってないようなことって
なかなか書くことはできません。
御本人生きてたり、身内だったするから。
インタビューしていて「あ、これは書かないでね!」 と念を押される話が実はおもしろい。
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