以下は5月に訪問してくれた
友人たち一行との出来事を、
文章にして
地方新聞のコラム欄に載せたものです。
ーソウルからの訪問ー
5月5日からの連休に
ソウルの友人達が家族で高敞を訪問してくれた。
コインドルと高敞邑城、青麦畑祭にも案内した。
これらの観光地は有名なので案内なしでも行くことはできる。
一見の観光客としては行くことができない場所として海里(ヘリ)の塩田を
選んで訪れた。
4家庭の子供たちの総数は10人だった。
私もそこは初めてだったが、都市の小学生である彼等にとっても
天日塩の製造現場を見るのは初めての体験だった。
運良く社長さんがいらしたので、塩作りの詳しい説明まで聞くことが出来た。
ー伝統的天日塩づくりー
天日塩作りは実に手間がかかるという。
普通、農業は雨が降ったら休むが、塩作りは雨が降ると更に忙しくなる。
塩田に残っている海水を一カ所に集めて雨に濡れないようにしないといけない。
そうしなければ水分を蒸発させてようやく塩の濃度を高めたものが台無しになってしまう。
いつも天気に左右される非常に手間の掛かる作業だという。
この膨大な労力に反し、韓国での天日塩の評価はずっと低かったという。
土方(ドカタ)という日本語は、韓国では「ノガタ」と呼ばれ
日本で使う意味と同じように
建設関係などの肉体労働を表現するのに適用される。
こういった言葉も日帝時代の置き土産であるが、
この塩作り労働は「サンノガタ」と呼ばれるそうだ。
この場合のサンというのは韓国語で「上」を漢字読みしたサである。
上ドカタ、上等なドカタという意味ではなく
労働量が一番きついドカタという意味で 上がくっついているんだと
後日塩作りの話をした私に、韓国人の友人が教えてくれた。
ずっとお祖母さんたちがキムチ用として
一袋二袋と大袋を買っていくだけの安物の塩だとしか見なされず、
長い間そのよさが認められなかったそうだ。
それに比べると現在では天日塩の評価は随分とあがったそうで。
しかも先日の日本の東北大地震の影響で塩の値段が高騰したそうだ。
塩作り30年以上だが、
ここまで天日塩が貴重視されたことは一度もなかったと社長さんはいう。
しかし値段が上がったからといって、塩作りの労力が軽減するわけではない。
今でも手間の掛かる伝統的塩作りを毎日地道に続けているという。
ー感動が物に価値を付加するー
社長さんは、
「天日塩を見る度に、こんなに手間を懸けて精誠込めて作っているんだってことを思い出してください。」
塩作りを、天日塩を愛しているということが伝わってくる言葉だった。
その場に居合わせた大人も子供もほとんどの人がそれを感じたようだった。
塩に関わる人の塩に対する並々ならぬ思い入れが伝わって、
ただの白い粉が精誠の詰まった貴重な宝物に変わった。
友人家族は高敞を満喫し、次に塩を買うときは
必ず海里の天日塩を買うと言い残してソウルに発った。
ー生産者への感謝ー
塩田社長のような志のある方が地方に増えれば、
地方の可能性は高まるであろうし、
それは余りにも一極集中に片寄りすぎた
韓国の国力を長期的に安定させることになる。
また、国力云々以前に、
地道に物作りに従事してくださる方がいるおかげで、
私たちはつつがなく生活を送れるのである。
周囲の評価がどうであれ、相場がどうであれ、
変わらぬ姿勢で生産を続けてくれたからこそ私たちの口まで塩や米が届く。
この町にはそんな志高い生産者が各地に隠れている。
そういうありがたい方達に感謝し、彼等の価値をもう一度見直したいものである。
ソウルの友人たちが高敞で受けた感動は、
そういう人たちのおかげに他ならないのだから。
私は去年地元塩会社の日本輸出のお手伝いもしていたので
一時塩に関する論文をたくさん集めて読みましたし
それを日本語に翻訳しての資料集もつくりました。
韓国の塩のいいところをまた別の記事で
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