夫と二人で映画のDVDを見ながら
年を越しました。
ニューイヤーなんだったら ニューイヤーな映画を見ればいいのに
よりによって
私達二人は年越しに
「トガニ」を見てしまいました、、、、、
2005年 霧津 慈愛学園
そこでおこった衝撃の実話
これは、韓流イケメンスター コン・ユのファンの方
ならもう当然ご存知でしょうが。
2011年の下半期に
韓国で大きな社会問題を引き起こした大ヒット作なんですね。
私みたいなマスコミオンチの耳にまで
秋くらいから、やたらメディアからの「トガニ」「トガニ」という声が
聞こえていました。
(以下ネタバレあり!注意!)
これは、韓国の障害者学校で
実際にあった障害者に対する強姦事件をもとにつくられた映画です。
もう、テーマからして、全然ニューイヤーじゃない、、、、
私等夫婦は、なんだってこの映画を2011年のラストに、、、
韓国の全羅南道に光州という町があります。
昔ここは「ムジン」と呼ばれていたそうで(霧津)
映画では地名ははっきりムジンとされています。
私立の障害者学校に
都会から新しい美術教師が赴任してきます。(コン・ユ)
しかし学校の雰囲気がなにか、おかしい。
生徒たちの目もなにかにおびえている
何年も前からこの学校の中で
日常的に続いてきた障害者に対する虐待に
新任教師は気がついてしまいます。
このまま黙って学校で行われていることを
見過すことができれば
自分の経済的安定は守れる、、、 先生は迷います。
ソウルにおいてきた自分の一人娘は病弱で
自分がここで職を失うわけには、、、
しかし、、、 先生は自身の良心の声にしたがい
人権センターの所員と共に、
子供達を救う側に自ら立ちます。
校長、事務局長をはじめ、性犯罪に関わったとされる教師達が
逮捕され、裁判になります。
しかし、状況はどんどんと子供達に不利になります。
教師達が性的虐待の対象にした子供達は
最初から親のいない子や、親も障害者である家庭の子ばかりでした。
食い物にしたところで、彼らには守ってくれる人間がいないことを
見越しての卑劣な行動でした。
保護者は、金をつまれるとあっさりと示談に応じてしまったりするため
裁判の旗色はどんどん悪くなります。
最後に虐待の場面を録画した画像テープという
決定的な証拠まで出たにも関わらず、
判事と裁判官が弁護側に買収され
結局、ほとんどこれは無罪ではないかというほどの軽い罪で
校長たちは、学校に復帰してしまいます。
ムジンの法院(裁判所)の前に
障害者と人権センターの職員達がたちはだかり裁判の判決に対する
不服を表明してデモを行います。
しかし、警察の機動隊が出動し、そのデモに集まった人々を
火事の消火に使用するようなホースで水をまいて蹴散らします。
先生も、その水圧でなんどもなんども倒されるのです。
映画では、結局、「強いもの」の前に、
ここからは現実の話です。
性的虐待は2000年から2005年の期間にあったことだそうです。
この映画が2011年韓国で上映され
ものすごい反響を起こしました。
当時、性犯罪を犯したとされるその教師が
今も学校で教えていることが分かり
懲戒免職になりました。
再捜査のための署名には何万名単位の名前が記入されました。
この学校は、光州の教育長から教育法人の認可を取り下げられ
閉鎖されることになりました。
そして2011年12月30日
「トガニ」 実際の人物 拘束
学校の名前も画面に出ています。
韓国のネット上では
その性犯罪犯であろうと思われる人物の顔写真も公開されています。
世の中を変えた「映画の力」
まさに、そうなんです。
この映画が出来たことで、一度は闇に葬られた事件に
もう一度手を入れるべきだという世間の声が高まって
こういう動きになりました。
私は映画に感動したというより
こうして「現実」が変わっていったことに感動しました。
裁判が被告人にとって執行猶予付きの軽い罪状に終わったとき
「ああ、やっぱりな」
「金と権力のある奴には逆らえない世の中なんだ」
って被害者達関係者達は思ったかもしれません。
でも、それから何年かたって
ものすごい数の韓国人達が
彼らの見方になって、すごいことになってしまった。
これは本当にすごいことです。
この映画には至るところに
「韓国の悪しき風習」がでてきます。
新任の先生は着任早々、「学校何とか基金」を要求されます
その額5000万W、(300万-400万円)
職員室で他の教師が、生徒に体罰を加えていても
他の教師達は見てみぬふりをします。
学校の非道を、教育委員会に訴えても
「放課後にあったことは、教育委員会の管轄じゃありませんから」
市の福祉課にいけば
「学校であったことは教育委員会に訴えてください」
そして警察に行けば
「つんぼとおしの学校じゃないか、あの子達がまともなわけないだろう。」
ととりあってもらえない。 実は学校から刑事に賄賂がすでに渡されている。
そして最後は、「判事」と「裁判官」が金で寝返ったということですから
これでもかこれでもかというくらいです。
でも、こうして、「映画」になって、多くの人々の心が動いたとき
それは現実に力となって
「これはいけない」「なんとかしないといけない」 ということで
社会が動いたのですね。
なによりも、このことが希望的でした。
日本での公開は2012年の夏だそうです。
これが公開されたら
日本でも大きな話題になるのではないかと思います。
1990年代に野島伸治脚本の「聖者の行進」という金ドラがありましたね。
広末涼子が出てて。
あのドラマにも障害者にたいする性的虐待が描かれていましたが
障害者がほとんど成人だったので
それでもまだショックが薄かったような気がします。
「トガニ」は小学三年生のときから、
少女がその被害にあっていたという設定です。
背筋が寒くなります。
実はうちの夫は
この「トガニ」波紋の余波を受けて
この秋、コチャンのすべての小・中・高校を訪問し
障害者とその教師を対象に講義しました。
「トガニ」のために、障害者のケアを迅速に行うという中央の流れで
「障害者のための性教育」が始まったのです。
他の町ではどうなっているか分かりませんが
いきなり「障害者のための性教育」といっても
そんなものマニュアルがあるわけでもなく
専門家や経験者がたくさんいるわけでもありません。
しかし、すぐになんとかしないといけないということで
障害者に「もし不快なことを誰かにされたらどうしたらいいのか」という
教育をすることになりました。
うちの旦那さんは、現在、大学の講師なんですが
もともと性犯罪を犯した人たちの更正教育に何年も携わっています。
中・高校にも性に関する講義の出張に行きます。
その経験を買われて、講義の依頼がきたようです。
実際に、「障害者の性教育」をやってみたうちの旦那さんにいわせると
「障害といっても千差万別、障害のレベルも相当違う。
今回の講義は本当に疲れた。」
だそうです。
そして、韓国はまだまだ「障害者教育」といっても遅れている面があり
障害者教育に関わっている先生が
障害のことを専門に学んでいないこともあります。
「正直いって、先生がすごく不勉強だ。
だいたい、性のことを生徒に教えるといっても
先生達自身が新卒の若い女の先生とかばっかりで
あの人たちに障害者の性教育をやりなさいといったところで
できないだろうと思う。」
ということでした。
これからおそらくもっとアプローチが洗練されていくことでしょう。
ともあれ、社会の今まで黙殺されてきた闇の部分に
光を当てた衝撃の一作です。 「トガニ」
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