えみこのひとりごと(2010年~)

格差結婚(キョヌとミヒョン)

백강 문정사랑 2013. 9. 3. 13:38

 私たち、このブログの執筆者は韓国在住の日本人主婦です。

 日本で言えばアラフォー世代で、21世紀を迎えるまでに韓国に定住しました。



 

 韓国人夫の世代は1960年代生です。


 

 この世代は、まだ韓国が貧困の影を引きずっていた時代で


 

 夫の小さい頃の話なんか聞くと 「ホンマか?」と思うことがたくさんあります。



 

 とにかく日本が一番いい時代に、豊かな時代の恩恵をたくさん受けて育った私たちと


 

 韓国人の夫との間には深い文化的ギャップがいつも存在して来ました。



 

 そのためにご主人と揉めたり悩んだりする過程を、


 

 韓国の日本人妻の多くは通過するのですが


 

 現在でも旦那と別れもせず、在韓歴を着々と更新し続けているというのは


 

 その部分において、解決したり、夫婦間で折り合いをつけたということなのでしょうが、


 

 国際結婚でなくても、こういうことは十分ありえます。



 

 同じ国の人間であったとしても、国内の格差が大きい場合、


 

 それぞれの育った環境があまりにも違い、


 

 結婚生活においてそれが問題になるということがありえます。



 

 先日の5月の長期連休に、私の家に遊びに来てくださった


 

 韓国人のご夫婦がまさにその典型でした。



 

 その話があまりにも面白く、これはブログに書きたいと思い


 

 ご主人の許可を取りここに挙げさせて頂きます。



 

 奥さんの方は「なんで書くのよー!!」といいましたが


 

 今回はご主人の語った「僕たちの20年史」を元に話を進めるので


 

 奥さんの方に見解の違いがあれば、また「私たちの20年史」を追記するということで。



 

 実名を出すわけにはいかないので、


 

 「冬ソナ」の主人公の名前をとって、


 

 ベタにミニョンとユジンにでもしようかと思ったのですが


 

 この夫婦を形容するなら「猟奇的な彼女」で行きましょう。



 

 人のいい男の子とチャーミングだけどハチャメチャな彼女の恋物語。


 

 あれ?この映画、彼女の名前をわざと決めてない。


 

 一貫して「彼女」で通してる。


 

 しょうがない、彼女のほうはミヒョンとでもしておきましょう。


 

 


 

 だから、男性の名前はキョヌで女性の方はミヒョンということで話を進めます。


 

 1998年結婚、現在小学6年生を筆頭に三人の息子さんのいる家庭です。



 

 キョヌとミヒョンが知り合ったのはソウルの予備校。


 

 地方出身者のキョヌは、ミヒョンをはじめて見た時、愕然とした。」


 

 「こんな美人がソウルにはいるんだ!!、、、、、、」



 

 ミヒョンは本当に美人だった。


 

 しかもミヒョンの家は裕福でソウル有数のお金持ち街に彼女の家はあった。



 

 その当時流行していたワンレングスの長い髪に


 

 黒いバーバリーコート、23インチという細身のジーンズはいた彼女は


 

 テレビや雑誌の中のモデルのようだったという。



 

 「俺なんかが声を掛けたところで、まさかこんないい女が相手にしてくれるわけが、、」


 

 と思い込んだキョヌは積極的な行動を起こさなかった。



 

 地方からソウルにやってきて苦学し、「今年こそは合格しなければ!」


 

と肝に銘じているキョヌはいつも最前列の席を陣取った。


 

 

 最前列の席を実は狙っていたミヒョンはいつも出遅れて


 

 その結果ミヒョンの席はいつもキョヌの後ろだった。


 

 

 当時、ミヒョンは体格のいいキョヌに「猪八戒」というあだ名をつけていたそうだ。

 

 「きー!!今日こそは最前列を取ろうと思って、早起きしたのに


 

 またあの猪八戒!目障りだわ!!」と友人とワルクチを言っていたという。



 

 ミヒョンはその当時輸入禁止されていた日本文化に思いっきりかぶれていた。


 

 日本語をちゃんと習ったことはないが、これが日本語だろうと思えるものを


 

 ノートにびっしり書き付けていたそうだ。



 

 キョヌがそれをみて「何書いてるの?」と聞いた。


 

 「(おじさん(アジョシ)、知ってどうするの?」 と冷たくミヒョンにあしらわれたそうだ。



 

 ミヒョンは当時美しくてスタイルがよくて、(何しろ腰が23インチ!)


 

 その後進学した大学でミスコンの優勝者になる。



 

 当時、とわざわざ書くのは、、、、まあそういうことだ。


 

 現在では当時の美はちょっと損なわれてしまったということで。


 

 写真は挙げられないのでご想像にお任せします。



 

 私の夫は現在のミヒョンさんに向かって


 

 「なーにがミス○○大学。笑わせんな!


 

 その腹の肉はなんだ、タイヤまきつけてんのか?」


 

 しかし今でも十分に美しい人ではあります、、、(^_^;)




 

 話を戻しましょう。


 

 とにかく超美人だったミヒョンさんですが


 

 性格はあまり丸くないということはヒョヌにも分かってきた。



 

 ある雨の日の講義時間、叙情的な国語の教師が


 

 「今日は雨だな、だれか前に出てきて歌う奴いないか?」


 

 といったところ


 

 さっとある男子学生が前に出た。


 

 彼は歌う直前に「この歌をミヒョンさんに捧げます」と告白したそうだ。


 

 当時流行していた「雨が降れば」という歌をそれは情感たっぷりに歌い


 

 喝采を浴びたという。



 

 そして次の日、ミヒョンの机の上にバラ100本の花束がおかれていた。


 

 送り主は雨のバラードの彼。


 

 ミヒョンは教室に入ってきて、その花束を見つけるとむんずと掴んで


 

 送り主の席まで行き「ありがとう」の言葉の代わりに


 

 バラの首をすべてへし折るほどの強い力で机に叩きつけて


 

 「フンっ」といって自分の席に戻った。


 

 これは当時を振り返るヒョヌの証言。


 

 

 「バラードの彼はその後どうなったんですか?」という私の問いに


 

 「続けて予備校通ってましたよ。 可哀想に。たしかヨンセ大入ったと思うけど」



 

  ミヒョンさんに言い寄る男性というのは星の数ほどいたようで


 

 いちいち相手にしていられないのと、「ああいう男って大っ嫌い」なのが


 

 その行動の理由だそうだ。



 

 当時を振り返るヒョヌさんは


 

 「いやーほんとにうちの奥さんは性格がトロプタ」 


 

 このトロプタは直訳すると「汚い」になってしまうのだが


 

 まあ、ミヒョンさんは性格が汚いというより、そうだなあこの場合は


 

 「気が短い」と「気が荒い」とをセットにした位の意味で受け止めていただこう。



 

 しかしこういう行動が美人で金持ちというミヒョンにますます箔をつけたらしく


 

 ヒョヌはミヒョンに対する気持ちをずっと密かに持っていた。



 

 そのうちヒョヌもミヒョンも大学に合格した。


 

 ミヒョンはソウル圏内の4年制大学で美術を専攻した。


 

 ヒョヌは専攻は美術ではなかったのだが、美術で名高い芸術大学に入学した。


 

 ミヒョンの友人たちの中に、ヒョヌの大学の学生が数人いたことから


 

 ミヒョンはヒョヌの大学に出入りするようになり、


 

 二人は偶然ヒョヌの大学のキャンパスで出会う。



 

 もう二度と会えないと思っていたミヒョンに再会したヒョヌの心中を想像してほしい。


 

 この人と自分にはなにか運命的なものがあるんじゃないかと思ったそうだ。




 

 そのうち二人は二人だけで会うようになり、


 

 「付き合っている」と言ってもいい状態にまでなりかけたこともあるという。



 

 しかしミヒョンはあまりにもお嬢様育ちで、性格に常軌を逸したところがあり


 

 いつも最後はっヒョヌが「お前みたいな馬鹿オンナと二度と会うかー!!」


 

 と怒鳴って決裂することになったそうだ。



 

 そうしているうちにヒョヌは30代を迎えた。


 

 そしてここにヒョヌのお父上が登場する。


 

 ヒョヌのお父上はヒョヌに厳命を下した。


 

 「早くいい人を見つけて結婚するように。」


 

 

 ヒョヌさんもミヒョンも口を揃えて言うのが


 

 「うちの父親はそれはもう恐ろしくて口答え一つできない」。


 

 そういう時代だったのでしょう。

 

 今は韓国でも頑固親父はただの昔話になってしまいました。



 

 まあ、それでヒョヌがどうしようと悩んでいると


 

 ヒョヌの友人の一人が「もういちどミヒョンに連絡してみたら?」


 

 その言葉がきっかけで、またミヒョンと会うようになり


 

 そしてミヒョンのご両親にお目にかかったところ、ヒョヌは大変気に入られ


 

 するすると「結婚」という運びになった。



 

  あ 4時になる。こども迎えにいかなくちゃ。


 

  すみませんが 文章ちょっと中断します。


 

 続きは 格差結婚(キョヌとミヒョン2)で お会いしましょー!!(

 

さてさて お待たせしました。 

 では格差結婚(キョヌとミヒョン2)行ってみましょー!!



 

 キョヌとミヒョンは結婚することになりました。


 

 キョヌはその当時就職していましたが、地方出身者がソウルで会社勤めをする場合


 

 家の家賃だのなんだので、お金が掛かるのは日本も韓国も同じ。


 

 しかもキョヌの家はそう裕福ではない。



 

 それに比べてミヒョンは30前になるまで


 

 働いたお金はほとんどが服と美容につぎ込まれた


 

 今で言うパラサイトシングルです。



 

 しかももともとミニョンの家は裕福なので小さい時から


 

 どこにいくのも自家用車。 


 

 バスも汽車もほとんど乗ったことがないという。



 

 そういう育った環境の違う二人が結婚することになって


 

 結婚式を挙げて、新婚旅行に出発。



 

 時はまさに1998年。


 

 その当時の韓国はIMF時代。


 

 外貨を国外に持ち出すことを控えようという時代で


 

 この時期に結婚した私の友人たちは


 

 揃えたように「新婚旅行は済州島に行って来た」といいます。



 

 そこでハワイに行こうとしていたキョヌとミヒョンも


 

 行き先を変えて済州島へ。


 

 

 キョヌは自分の経済状態としては相当の無理をして


 

 かなりいいコースを設定しました。


 

 しかしフツーにいい暮らしをしてきたミヒョンにとって


 

 キョヌが選んだホテルというのは


 

 完全な格落ちのホテルだったそうです。


 

 済州島のホテルで一泊した後、いきなり花嫁は姿を消しました。


 

 新郎にはなんの言葉も置手紙も電話もなく


 

 ただ忽然といなくなってしまいました。



 

  驚愕したキョヌ! 今回の旅行が気に入らなかっんだろう。


 

だけどどこに行ったんだ。 自分はどうしたらいいんだ???



 

 仕方がないので、ソウルに戻って、誰に連絡することもできず


 

 新居予定の部屋で一人キョヌは鬱鬱していました。


 

 

 キョヌの家族に言うわけにもいかないし


 

 当然ミヒョンの家族に話すわけにもいかない。



 

 実はソウルのロッテホテルに隠れていたミヒョンから


 

 連絡があり、二人は顔をあわせました。


 

 ヒョヌは怒るでもなく罵るでもなくこれからどうする?という話をしました。


 

 ミヒョンが一番怯えているのは、ミヒョンのお父さんが今回のことを知ったら


 

 どれだけ怒られるだろうということでした。


 

 キョヌに申し訳ないってことじゃなくて。(それはあまり頭になかったみたいです)



 

 それを察したキョヌは 


 

 「わかった、じゃあこうしよう。 俺に実は別にオンナがいたってことにしよう。


 

 新婚旅行先でそれがわかって、驚いて逃げ帰って来たってことにしろ。」


 

 とミヒョンに言って、それを文章にしてミヒョンを親元に返しました。



 

 ところがその後、すぐにキョヌの家の家のインターホンが鳴りました。


 

 あけてみると


 

 ミヒョンのお父さん、お母さん、親戚のお兄さん(すごくいかつい)


 

 そして一番後ろにいたのは、顔を下に向けっぱなしのミヒョンでした。



 

 そしてミヒョンのお父さんはヒョヌに向かって


 

 「この文章嘘だろう?」


 

 当然、うちの娘が嘘をついているに違いないと見抜いている口ぶりだったそうです。


 

 ヒョヌは「いえ、ほんとです。自分が悪かったんです。本当に申し訳ありません」


 

 それでも疑わしそうな顔を崩さないミヒョンのお父さんは


 

 「男だったらそんなことくらい、一度や二度はあるだろう、


 

  かまわないからうちの娘と一緒に住め!」ということで


 

 ミヒョンはヒョヌのもとに送り返されました。



 

 ということで新婚生活が始まったのですが、


 

 このあとにも揉め事と喧嘩はずーっと続きます。


 

 

  私はこの家の長男さんに聞いた。


 

 「ねえ、お父さんとお母さんほんとにそんなに喧嘩ばっかりしてるの?」と


 

 「はい、ほんとです。」と彼は賢そうな顔で答えた。


 

 

 ミヒョンの言動があまりにひどいのでつい、殴ってしまったというヒョヌさんの話。


 

そしてそれに食器をもって殴り返したミヒョンの話。

 三人の子供たちをそれでも生んで育ててきた話。


 

 ヒョヌのカードの請求額がいつのまにか限度を超えて、借り入れになっていた話。(当然ミヒョンの使いすぎ)


 

 ミヒョンが自分にご褒美!と思って最近買ったミンクのコートの話。


 

 「なんか縫ってあるところが多すぎて、一枚革じゃない安物だってすぐわかるのよね。


 

 うちの母親のミンクはどこにも縫い目がないのに、、」といって文句を言うという話。


 

 物語は尽きない。


 

 いやー ドラマですね。



 

 前述したように、ミヒョンさんの光り輝くような美貌は、


 

 40代の今ではかなり落ちているはずなのだけど


 

 ヒョヌさんは一貫して「うちの嫁さんほどいい女はいない」と断言する。


 

 酔っ払うとそれがもっと前面に出る。


 

 私はそういうヒョヌさんがすごく格好いいと思う。



 

 ミヒョンさんが私にこんなことをポロッといった。


 

 「ねえねえ、今私たちが水商売にでたら


 

 一時間いくらくらいもらえるかしら?5万円くらい軽いかしら?」


 

 私は翻訳とか日本語教師とかが忙しくて、


 

 水商売までやろうかという気は全然なかったので


 

 自分の相場なんて考えたこともなかった。 夜まで働けないって。



 

  横で聞いていたうちの夫が


 

 「ふざけんな おばさん(アジュンマ)。 一時間3千円でも高いわ。


 

  しかもその性格、2千500円がいいとこじゃないか?」



 

 うちの夫はミヒョンさんと仲が良くて


 

 お互いにお互いのおなかの贅肉をひっぱりあって


 

 「そっちの方が多いじゃないかー!」とやりあってる仲なので


 

 そういう憎まれ口を叩いているし、いつものことなのでミヒョンさんは


 

 「なんですってーきー!!」となるくらいで、応戦する。



 

 ところが、同伴していた夫の友達が、真顔で


 

 「ミス○○大ですか?そんな時期があったとは信じられませんね」


 

 なんていうものだから ミヒョンさんが憤慨した。(かなりショックを受けていた)


 

 

 そしてヒョヌさんが一言。


 

 「いや、今でも一時間一万円は貰えるだろう。」


 

 これでみんながシーン。


 

 

 夫がそう認めるならそれでいいじゃないか。


 

 ただ韓国の水商売で、20代でも一時間一万円って厳しいと思うけど。



 

 とにかくこのヒョヌさん 初恋を貫いて生きてます。


 

 ミヒョンさんもなんだかんだいって、


 

 「私にとってこの人以上の人はいない」と


 

 私に言いました。



 

 またそれを小耳に挟んだうちの夫が


 

 「そりゃあそうだ、あんたみたいなダメ女と暮らせるような立派な男は


 

 もうこれから先絶対に見つからないから、旦那、大事にしろよ」



 

 実は私の夫はミヒョンさんよりも年下なのですが、


 

 ミヒョンさんにタメ口で通しています。


 

 ミヒョンさんが「なんでタメ口なのよー!」と抗議すると


 

 「年上の尊敬をうけるほどの人格がないじゃん。」と返して


 

 また「キー!!」


 

 といってまたお互いのおなかの贅肉の指摘をし始めるのでした。



 

 ということで、同じ国の国民同士で結婚しても


 

 元々の生活環境の違いが大きすぎると、


 

 結婚生活でいろいろ問題がでてくるという話でした。


 

 

 国際結婚した私なんかもそうですけど、


 

 それでも夫との生活時間が増えてくるにつれ


 

 だんだん解消してくる部分はあります。


 

 



 

 理屈でどうこういえる部分でもないのかもしれません。


 

 新婚旅行から逃げ出したミヒョンさんに当時の心境を聞いたところ


 

 「わかんない、とにかく目の前が真っ暗になったのよ。


 

 これから先もこういう生活をするんだと思ったら。」 ということでしたから。



 

 まあ、とにかく、そういう貴重なお話をゆっくり聞かせていただいて


 

 これは為になる!(誰の?)と思ったので


 

 長々と書かせていただきました。


 

 韓国のリアル猟奇的な彼女のストーリーでした。



 

 でもこのお話はまだ完結してなくて、


 

 現在進行中だってのが素敵なところだと思うんですけどね。


 

 彼女が猟奇的なお婆さんになるまで物語は転がっていく。




 

 きっとヒョヌさんはこれから先も


 

 「ミヒョンは世界で一番いい女だ」と言い続けていくんじゃないかと思うのですが、


 

  どうでしょうか?



 

 お付き合いありがとうございました。