朝鮮総督府刊 「朝鮮の風習」
6 訪問と接客
-長幼序ありの応接ぶりー
来客が自分より身分年輩共に目上のものでありますと
部屋の入り口の外まで出迎え
一層目上の者ですと門口まででて敬意を表します。
客に対しては、煙草を出して接待するばかりで茶はだしません。
若し、懇意なものでありますとか、或いは珍客でもありました場合には
酒を饗応しますが、この酒は内地の茶菓のように
極く手軽に用意せられるのであります。
親しい間柄で同一の身分年輩のものですと
食事の時間にはお膳をだしますが
それも一つお膳でご飯と汁以外は料理は皆一つの皿に盛られているので
主客ともに突き合って味わうのであります。
酒は一つの盃で献応します。ご飯の際は先ず主人が箸を取り
客の食事の終わるまでは箸をおきません。
初対面の人と挨拶する時には
姓名・住所を告げ、年齢・職業・暮らし向きなどについての問答をします。
若し、同姓の場合ですと、その本貫即ち祖先の出身地を告げます。
この問答によって上下の別が分かりますので
互いの態度なり、言葉遣いなりが改まってくるのであります。
他人を訪問する場合には、非常に懇意にしているもの
或いは平常出入りしているものの外は、
先ず、その家の門の入り口で召使を呼び
主人の在否を問ふて来意を告げます。
もし召使がいないような家ですと、あたかもそれがいるような
言葉を使って先方に敬意を表するのであります。
殊に主人不在のため、やむをえず主婦と言葉を交わさねばならぬような場合には
互いに物を隔てて、丁度他人の取次ぎでもするような言葉の使い方を
以ってするのであります。
愈愈部屋に通りましてから、若し自分が先方と同等、又はそれ以上の身分年輩で
ありますと、主人と同列に座りますが、同等以下ですと
主人に向かって一段下手の左右斜めに着座します。
若し一層主人との身分の懸隔がはなはだしい場合
あるいは年輩によほどの差がある場合ですと
着座を勧められてからでなければ席につきません。
坐法は、特に敬意を表す場合には端坐でありますが
その他は多くは胡坐、女ならば立て膝であります。
親の友人なり、また同年輩の人の前では次の間に着座し
さもなければ、その前に起立しております。
これは朝鮮における「長幼序あり」の美風の結果であります。
一室の内では、内地のやうに、主客向かい合って着座することはなく
同室に他人が座った場合、主人なり知人なりから紹介がなければ
挨拶はさておき、礼を交わすこともしません。
又、行き先でご馳走になっても、平常出入りする家であるか
さもなくば普通の場合であるなら、別にお礼を述べるようなことはないのであります。
如上の風習などは内地とはかなりの相違でありまして
或いは全く正反対になっている点でもありますから
互いに心して置くべきことでありませう。
ということですが、
後半部分にある「食事をいただいても特別礼をいうことはない」という習慣ですが
これは、当時の日本人としては相当驚いたことでしょう。
しかもこれソウル中心の記述ですからね。
私が嫁入りした20世紀末の韓国にも、地方部ではそういうことは結構あって
夫の実家などだと、丁度昼間に立ち寄った近所の人などが
ふつーにご飯を食べていくのですが
かといって「ありがとう」も「ごちそうさま」も、いう人っていなかったですね。
私もそれに嫌悪感を感じたことはありません。
ま、ここはこんな風に生きてるんだろうということで。
といってもこれが都市部になると全然違います。
「韓国人は予告なしにやってきて、許しもなくどかどか入る」と
ある日本人女性が言ってましたが
田舎ならともかく、ソウルのアパートでそういうことをする人って、まずいなかったです。
都会ではそのへんの感覚はほとんど「日本と同じだー」と思いました。
現在私は田舎生活をしているのですが、
最近のお年寄りはお年寄りで結構気を使って生きているのでしょう。
どかどか入ってきて、たんすの中の下着まで物色する
みたいなことってなかったです。(実際にこういう目にあった田舎在住の日本人女性がいますが)
夫の友人たちも、夕食の時間に訪問するとか、そのまま夕食を食べていくとか
そういうことはしないようにしないようにと、気を使っているのが分かります。
こっちから強く食べて行けと誘って、帰るという夫の友人を
私がとうせんぼして、夫が羽交い絞めにし
食卓に座らせるという荒業を使わないと、
大体の方は「迷惑ですから結構ですよ、、、」 といって遠慮します。
まあ、韓国というのは、あれです。強く押し切ったものが勝つというか
声のでかいものが勝つというか、
あれこれ元々の決まりはあるんですけど、
「強い情熱」の前にはなにもかもがなし崩しになってしまうということが結構ありまして
その辺融通が利く国でもあります。
しかしこの資料だれが書いたのか知らないですが
上記のような当時の朝鮮の風習を「長幼序あり」の美風の結果であります。
と書くとは、随分性格のいい公務員です。
性格がいいというより、裏をみてないというか。
いや、これは男の人が書いたからだな、
だって、男の人は座ってて次々お膳だの酒だの煙草だのが運ばれてきて
良い世界ですよ。
もしかして当時のこの日本の公務員はうっとりしてたかもしれない。
ああー 男の天国だーとか。
こういうものは女に書かせると多分違った意見が出てきたことでしょう!
予告も無く来る客来る客にこんな接待してたら裏で女は大変なんだからねーー!!
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