奇跡の教室2012.3

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち/伊藤 氏貴

￥1,365

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　えみこです。　　　これを読みました。

　去年から買おう買おうと思って気になってた本なのですが

　　なぜかいつも買い逃した本です。

　　たまたま新人韓国セデクの美人妻Hちゃんが

　「えみこさん　帰省するんだけど

 

　　日本で何かほしいものはないかしら？」

　　と聞いてくれたので　　　すかさず

　「奇跡の教室！！」

 

　　とお願いして、私のもとに来た本です。

　　Hちゃん　ありがとうね。うれしいわ。

　「奇跡の教室」は灘中灘高の国語教師であった

　　エチ先生の教育法を紹介した本です。

　　

　このエチ先生（ニックネームです）の国語授業はとても変わっています。

　この本　「銀の匙」

銀の匙 (岩波文庫)/中 勘助

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　この薄い文庫本を中学の三年を掛けて読み込むという授業です。

　　正規の教科書の副読本としてではありません。

　　これがメインです！

　　

　灘中高という学校は、今では

　「すんごい偏差値の高い学校」というイメージですが

　　今のように私立高の認知度が高くなかった戦後すぐの時代には

　　それこそ「海のものとも山のものともわからん学校」と見られていたようです。

　幼い頃のエチ先生には

　楽に勉強できる状況が整っていませんでした。

　それでもご自身が優秀だったので

　師範大学に合格し、教師になります。

　　

　　そして教師としての赴任先が

　私立灘中学校だったそうです。

　　同級生はみんな公立学校への就職が決まるのに、、、

　

　　教授から

　「何年かたったら呼び戻すから」　と説得されエチ先生は神戸に向かいます。

　　しかし時代はちょうど1930年代。

戦争に向かっていく日本

　　国語授業どころではありません。

　　そして日本の敗戦、

　　昨日までの教科書にべったりと墨が塗られ

　　「あれは嘘だった」と、昨日までの常識がひっくり返ります。

　エチ先生はこれらの状況を通して

　　「時代がどうなっても、状況がどんなに変化しても

　　

　　　持ちこたえられるだけの学力を

　　　子ども達につけさせなければならない」

　　　と決意します。

　　そして「国語力は学力の背骨」であるとの信念を

　　　もち独自の国語教育法を子ども達に施していきます。

　そういった激動の時代に、熱情のある教師に、

　一つの舞台が与えられました。

　それが灘中学の教育システムです。

　

　なんと灘中では一人の教科教師が一貫して3年授業をするという

　方針を採っていました。

　　高校まであわせれば6年継続です。

　ですから灘の生徒だったといっても

　エチ先生から学べる確率は6分の1です。

　　

　もちろんただ「銀の匙」を読むだけの授業ではありません。

「銀の匙」を読みながら、一つでも不可解な言葉、事象にぶつかったら

　徹底的にそれをしらべます。

　文中に「たこあげ」が出てきたら、生徒にたこを自作させてみる。

　　主人公の食べた駄菓子をとりよせて

　みんなで口に含んでみる。

　　

　　授業はほぼ脱線に次ぐ脱線。

　しかし生徒達は　「不思議におもったことを自分で調べてみる」

　　という姿勢を獲得していきます。

　エチ先生の生活は

　毎日が「銀の匙」研究となりました。

　朝まで読み込んで手書きのテキストを作っては刷ります。

　　ご自分ではどうしても分からないことにぶつかり

　著者の中勘介氏とも交流がもたれます。

　　著者の中氏は

　「こんなにまでして『銀の匙』を

　　読み込んでくださってありがとうございます」

　　そしてエチ先生の期の生徒達『自ら学ぶ力」を

　　獲得した彼らは次ぎ次ぎに有名大学に合格し、

　「灘中高」は私立高としては

　　最大の「東大合格者」を輩出する名門校となります。

　　エチ先生の教え子たちのインタビューが

　　いくつか本の中に収録されています。

　　東大の総長、日本弁護士会事務総長、最高裁事務総長たちです。

　　エチ先生は

　　「結果が出てよかった、

　　結果がでなければ責任をとるつもりでした」

　とおっしゃっています。

　この場合の責任というのは

　当然灘中の教師を辞めることですが

　結果というのは、

　実は「有名大学合格者を多数輩出すること」ではありませんでした。

　

　最初から最後までエチ先生がこだわったのは

　　「いくつになっても挑戦する心意気を

　　もった人間を作る」　ことでした。

　　『目の前の壁を階段として乗り越えていく人間」

　　　を作ることでした。

　

　　エチ先生は、100歳を超えようとする今も

　　「銀の匙の現代っ子にあう研究ノートをつくらねば。

　　　120歳くらいまでは死ねない」　

と意欲的に生きています。

　　そして教え子達が「還暦」という年齢を過ぎても

やはりいつまでも「新しいこと」に挑戦しようとする意欲をもって

　　　人生を生きていることに対して

　　「結果が出て良かった」　と仰っています。

　エチ先生の国語授業は

　　「スローリーディング」そしてご本人いわく

　　「究極のゆとり学習」　（！）

　私はさらにこれを注文しました

　　

伝説の灘校教師が教える　一生役立つ 学ぶ力/橋本 武

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　　　面白かったらまた書評をあげます。