この本
日垣隆さんの「北」(北朝鮮はなぜ嫌われるのか)
- <北朝鮮>はなぜ嫌われるのか?/大和書房
- ¥840
- Amazon.co.jp
この本を買ったのは確か去年のことだったと思うのですが
もう一度読み返しました。
先日出会った北朝鮮からの脱北女性たちのことを
こちらに文章としてアップする前に
なんとなく手が伸びて。
過去の『ソウルの教育ママ」の記事を検索してみると
2012年の二月の記事で
この本の一部に軽く触れていました。
以下がその抜粋
日垣さんは
かなり以前(拉致被害者の問題が日本全国で問題になる以前)
蓮池薫さんのご両親にインタビューしています。
いろいろ調べてみて、 「北朝鮮拉致被害者に目をむけよう」
という結論に達し
それを記事にしたあと(記事自体にもあまり反響がなかったそうです)
小泉総理が北といろいろ約束して
イキナリ「蓮池薫」さん という人を
知らない日本人はいないくらいの事態に急展開しました。
日垣さんが、蓮池薫さんのご両親にインタビューをとったときは
この事件に関して
「拉致されたなんて、、、ありえない」「妄想」「親の思い込み」
の言論がとても強かったそうで
今からはとても考えられない雰囲気だったそうです。
取材にくるような記者もほとんどなくてという状況だったそうです。
くらいのことしかかいてないのですが
改めて、この著者がいいこと言ってるなと思うのは
こういう部分です。
「拉致問題」と「イデオロギー問題」をごっちゃにしてはいけない!
ということです。
拉致の被害者家族が望んでいるのは
『家族の奪還」です。
家族として当然のその願いと
「北朝鮮を崩壊させるべきだ!」という流れを
混同したり、ましてや「被害者の方たちの苦痛」を
「北朝鮮打倒の根拠」として利用するのは間違っているということ、
感情にとらわれて、乱暴な議論をしないように自制しなければ
いけないという主旨の文章がありました。
なぜ、私が今、このことに目が行ったかというと
先月、実際に脱北者の女性たちと話してみて
私も同じようなことを思ったからです。
(先にこの本を読んでたから、
覚えてなくてもそう思ったのかもしれません)
私も今回「脱北者」の方々の話を聞いて
「うーん、これは解釈の仕方によっては
何とおりもの解釈が可能な話だ」と
思いました。
だから気をつけて書かないといけないとも思いました。
聞いた話の中にはちょっとびっくりするようなものもあったので。
書く人が何に注目しているかによって
まったく書き方が変わってくるのではないかとも思いました。
韓国で生活する脱北者の女性たちには
さまざまな苦労があります。
各人その大変さに違いがあるのは
私たち「外国人嫁」と同様です。
脱北者たちが韓国社会に適応できないという事実があったとして
そして、それが「不幸」を生んでいるとします。
(たとえば彼女たちの子女はかなりの割合で
韓国での高等教育機関を卒業することに
困難を感じているという統計があるそうです。つまり中退が多いと。)
それで、その不幸の原因を考え始めたとき
「北が独裁を強いているからこうなった!」になって
「だから北を倒さないといけないんだ!」に結び付けられてしまったら?
あまりにも単純ですよね。
こっちが善で、あっちが悪だからみたいな二元論で。
だから『脱北者』支援に関しては
『北を倒す」に結びつけず(結果として結び付けられがちですが)
あくまでもこの人たちが
韓国でよく生きていく道を模索するには
どうしたらよいのか?という部分に着目する必要があるはずです。
もちろんそれをするためには
「脱北者」がいったい成長過程で
どういう教育を受けてきたのか
そして、どういう社会の中で
生きてきたのかという研究は
必要ですが、それをいちいち韓国社会での教育と優劣をつけて
どっちが良い、どっちが悪いと上下を決めて
さらにイデオロギーと結びつけて
「だからこんな国があったらだめなんだよ」は
目の前の人が如何に生き易くなるかのプラスにはなりません。
ましてやどんな国であっても彼女たちの祖国です!
私が夫の性格の非を責めて
「韓国は、朝鮮王朝の間違いをひきずって
近代化した国だから、あんたはこうなのよ!」
と言ったら
絶対首絞められますよね。
日本人の私が朝鮮時代について学ぶことは、
うちの夫婦関係にプラスになると思います。
夫の生まれた国の背景を深く理解することは
夫の考え方のルーツを知ること。
でもそこまで。それから先は要りません、あると喧嘩になりますって!
ふふん!愚かね!朝鮮って。
明治維新前後ですでに日本はね!
なんて自殺行為です!!
だから「脱北者」のヘルプに関わっている人が
「脱北者」を理解するために
『北』を知る必要はありますが
「北は間違ってるから打倒せねば」という政策とは
一線を引かないと、
イデオロギーが先立って
「「目の前の人」の状態が見えなくなってしまいそうだと
今回思いました。
話の次元が別ですから。
しかし彼ら『脱北者」の声が、結果的に
政策に聞き届けられるというよりは
利用される結果になってしまうようです。
2012年の夏に私が長男と参加した「護国キャンプ」というセミナーで
北から逃げてきた「元軍人の女性」が
北の生活、北での軍人としての生活について
語ってくれましたが
彼女がその講義の場で、結論付けたのは
「だから!韓国はアメリカとの軍事の絆を弱めちゃだめなんですよ!」
だったので、ちょっと驚いた。
イデオロギー教育する場だったのか!
もう行かない~!
実際に専門的にこの「脱北者」研究に関わっている方に
その部分、彼らの報道のされ方を質問したところ
「大体、自分の聞きたいところだけを
取り出して、それを書いてしまう記者さんがたくさんいる。
脱北者は聞かれると、深く考えず
あまり警戒せずなんでも見たことを
軽く言ってしまうところがあるから
そこを取り上げて
読者にとってセンセーショナルな部分だけを
書いたりする。大体、北を良く見ようなんて意見、
今の日本のマスコミでは主流じゃないから
北の恐ろしさとか不気味さとかそういうのばっかりが
インタビューされて取り出されて
活字になるのが今の日本のマスコミの現状。」
だという話を聞きました。
「あんたそんなこと言ったって
38度線ができたのは日本のせいじゃないのよ!きー!」
なんて怒る人もいませんでしたよ。
というか、その変に関してはですね、、、
私たち日本人が、韓国で生活し始めたときに
歴史問題とかで悪いイメージをもたれてるんでは?と
思いながらも
意外と「日本人」というだけで
好感をもたれていて拍子抜け~というところがありますが、
今回「脱北者」の方たちと話してても
似たような感じがありました。
中国から来る品物
韓国から来る品物
そして日本から来る品物
まあその品物が来る『ルート」というのは
一つではなくて、それもへえ~と思ったのですが
皆さんおっしゃるのが
『日本製最高!」という言葉でした。
へえ~!北の庶民にまで「日本製は安全で信頼度が高い」って
思われてるんだということを聞いてびっくり。
ナンデかというと
彼女たち、その『食物の安全性」に
命がかかってるらしいんです。
中国から流れてきたわけの分からないひまわりの種で
中毒を起こしてひきつけた子を
目の前でみたわ~!!という女性
「そうそう!だから中国から来る品物は油断がならなくて
韓国から来る支援米はそれでも安全なのよね
だから支援を打ち切られると、ほんとに困る!」
つまり、ここで聞いた話だけですけど
外国からの支援米が、
直接庶民に、配給されてる、、、
というのではなく
どっかで上の人にピンはねされてごっそり持っていかれて、
だけど、それって自分の所だけじゃ食べられないから
あまったものを現金化するため
市場に出回ってくるということだそうです。
だから結局『食べられる」ということだそうです。
彼女たちの中に
日本と縁故をもっている人が意外に多く
また、知り合いの家の中に
『日本から来た家庭があった」というのが驚きでした。
その日本から来た家庭の暮らしぶりを聞いて私も驚きました。
というのが、何しろ私は
こんなのばっかり読んでたわけですから
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日本に親戚があったり、
日本から北に渡ってきた日本人妻とか
いうと、どれだけ北で悲惨な暮らしをしているんだろう、、、
もう、、日本というだけで、白い目で見られたり
苛められたり、公職に就けなかったり
進学できなかったり、、成分だけでふるい落とされるんじゃないかと
思ってたんですよね。 これこそ洗脳された人!
ところが、
ある脱北女性が
「いいえ。すっごい良い暮らしをしている日本から来た家庭がありました。
友達の家だったんですけど
もう、モノから食べ物からすごく豊かで
あれって、多分日本の親戚から助けてもらってるんだと思うんですけど
うらやましいくらい」
「へ?!!そうなの!
その反対じゃなかったの?」
ちょっと考えて、、、、
「あっ! すごく貧乏な日本人家庭もありました。ありました。
それはぜんぜん日本から何にも援助が来ない家庭だったと思います。
そうなると、もう私たちが見ても
その差がすごくて
あっちは金持ち日本人家庭、あっちは貧乏日本人家庭って
区別して呼んでました。」
ははは。
私は実際数人の『脱北者」の女性と会ってみて
確実に会う前よりは『脱北者」の方々を
身近に感じ、彼らの問題に関して真剣に考えるようになりました。
かといって、それでは継続的に
この『脱北者」の方々に関わって
この問題の助けになりたいかというと
私の中にそれだけの意欲が起こってこない。
今現在『脱北者」のために、
ボランティアで関わっている立派な方々がいます。
そのちょっとしたお手伝いくらいのことは出来ても
それほど大きなことはできなさそう。
近所に『脱北者女性」がいたら、気にかけるくらいのことは
出来ますが。
私自身もここで「外国人」であり、ちょっと気を抜くと
すぐに『福祉対象」に入れられちゃうんです。
現在の『多文化政策」の種類は多くて
特に子供に対する支援が多いので
ママとしてはいろいろ助かってます。
でも私自身を「福祉の対象」にされると
正直腹が立つ!
かわいそうとかもし言われたら殴ってやりたくなる。
お前に言われたくないわ!と。
(もちろん私の目の前にはそんな失礼な人でてきません
しかし、そういこと言われた外国人はわりといます)
今回の話合いの中に
韓国人の専門家が混じっていたのですが
彼らが見る『脱北者観」が私にはどうも鼻につく。
なんでかというと一貫して『上から目線」な気がするからです。
別に、私自身が
なんか言われてるわけじゃないのだけど
そのものの言い方、と
「相手を見ないで自分の言いたいことを言う態度」に
ミョーにムッときました。
ある韓国人の専門家が不意に
こんなことを言いました。
あれは一体どんな話の流れで出た言葉だったのか?
『韓国人も北から来た女性たちも、ひとつになれますよ。
ほら、この間一緒に練炭を運んだじゃないですか。
あのときとか、ホントに心が一つになりましたよね」
私はサブいぼ(鳥肌のことです)がざざーっと立って
あー気持ち悪い!と思いました。
私が多文化政策に関わっていて
一番嫌いなのが、こういう意見。ずれてるってば!!観点が。
いいんですよ
別に一つになんかなれなくっても!
大体一つになんかなろうと思うから、もめるわけ。
そのあなたの言う「ひとつになる」っていうのは、
相手を自分に同化させる、相手の『違い」を消しちゃって
均質になるという意味でしょう? それは違う!
「違い」を残したままでも、それを認めて一緒に生きることは出来る。
大体一つになる、集中するってのは
「強いようで」『弱い」んだぞ。
韓国なんかソウルの一極集中だから
もしソウルにどでかい爆弾でも落ちて大変なことになったら
一気に人口が減り、人材がいなくなって
韓国なんか大変なことになるよ!
その団体の中に『異分子」を含んでいるほうが
多様性があって、危機対応できるはず。
それにどうしても韓国人が上で、脱北者が欠落してるって感じで
みてるんですよねえ。
でも私から見ると、もう現代人の韓国人女性なんか
よわっちくってよわっちくって。
(しかし脳だけはずるがしこく狐のように働き
どっちについたほうがお徳かの計算には余念がない!)
命を懸けて、毒薬を携帯して、
北朝鮮からさらに北へ向かう川を、
裸でわたった彼女たちの胆の据わりように比べたら
比べるのもおかしいくらい。
「ここにいる脱北者の女性たち
能力的には、普通の弱弱しい韓国人女性より
ずっと上だ!」と思いました。
だから「力のないものを助ける」という形の
上からのヘルプではなく
「寄り添う形」のヘルプにならないモンだろうか?と。
それを主催者である日本人男性に告げたのですが
その方も「そう思う」とのこと
しかし
「それを韓国人の専門家が感情的に
素直に受け入れることが難しい」そうなのです。
つまり脱北者のほうが、
韓国人より人間的に上だよ!ということを。
ふーん。、そうかあ。確かにそうだろうなあ。
でも、そう思ってしまえば、韓国人が楽になるんだけどなあ。
と私は思います。
どうせ「どっちが上」なんて、固定されたモンでもないのに。
今回は、「脱北者」を中心にした話し合いの中に
日本人としての意見をいれてほしいということで参加し
混ぜてもらったわけですが
毎回私がこれに参加できるかというと、それは難しい。
私の興味と関心がそこにないので。
しかしつい「どっちが上か」になりがちになる
韓国人と脱北者の話し合いの中に
「日本人」が混じるということには大変意義があるようです。
どっちの味方でもない立場から
かなり『客観的な意見」を
投じることが出来る可能性があります。
もしこの『脱北者」の集まりに関心のある方で
韓国在住の日本人女性の方がいらしたら
どうぞ、メッセージ欄にご連絡ください。
責任者におつなぎします。
私はとりあえず、初めて『脱北者」と話して
こういう感じでしたが
同じ日本人であっても
人によって感じることは違うと思うのです。
定期的ではないかもしれませんが
月一で集まっているようですよ。
参加できる方がいらしたら、ご一報ください
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