恵実子の書評

依存症の真相  

백강 문정사랑 2010. 4. 2. 16:22

依存症の真相

 ーアダルトチルドレンとADHDの二重奏

 

 


 ホンのわずかの差があとで大きな違いを生むんだと言われます。

この「依存症の真相」を読みながら、精神的なケアに関しては、特にそうだと思いました。知っていると知らないの差は大きいです。


アダルトチルドレン(AC)とか、依存症とか、ADHDとかよくきく言葉です。

 だけど一体、これ正確にはどういう症状を指すのか

この本を読むとまず、それが整理されます


  一部だけ内容要約させてもらいます。


アダルトチルドレン(AC)

 機能不全家族で養育された子供が大人になった人。これは精神科の病気ではないが、人格に軽度の偏り、あるいは未熟性があると考えられる人。

自分のセルフイメージがとても低くそのため劣等感、自己嫌悪感が強い。人間関係において、必要以上に緊張するため対人不安を抱える。


機能不全家族

家庭間の基本的信頼感や、安心感が乏しい家庭、両親や祖父母の間に人間関係の不和、軋轢がある。


ADHD(注意欠陥、多動性障害)

 脳の軽度の機能障害。特に覚醒機能部分に障害。代表的特徴は不注意(注意散漫)、多動性(運動過多)、衝動性。退屈を嫌う。自分に必要でない情報を遮断する機能がうまく働かないため、「管理」することが不得意。脳内のセロトニン分泌が弱いため思いつきや衝動を抑制する力が弱い。


甚だ簡単ですが。それぞれの症状については

すでに専門書がたくさん出ていますし、興味のある方はご存じのことだと思います

ただ、この本の特筆すべき点は、そのAC、ADHD、依存症、機能不全家族という一見バラバラに見える概念が、実は関わりを持っているということを明らかにしたことです


ACとADHDとは本当は一緒に論議するものではありません

前者は生育過程の問題から起った心理的状態で、後者は脳の状態によって引き起こされている症状です。しかしこの両者にはとても共通点が多いのです。


ACは常に心の中に満たされない空虚感と不全感があるため、それを埋め合わせるための代償行為として、完全主義になりやすく、依存症に陥りやすい傾向を持っています。また、感情をうまく表現できないため、アルコールや薬物に頼って表現するようになると、そこから抜け出すのも困難になります。


一方、ADHDはうまくできるはずのことができないといって、しかられたり虐待されたりしやすいため、自己評価が低くなりがちです。そこに家庭の機能不全が重なることで悪化しやすくなります。かつ刺激を求めやすい傾向があるため、依存行為に手をだすとエスカレートしやすい、しかも衝動を抑制する力が弱いので抜け出しにくい。



京都宇治の少年院で非行少年240人を対象に五年間調査した結果、ACとADHDの割合がものすごく高いそうです。85%がADHD、60%がLD(学習障害)、そしてほぼ全員に、家庭での虐待や、経済的問題をはじめとする、なんらかの機能不全があったというのです。

 

そして著者の星野先生自身が精神科医師として治療に当たってもみても

依存症の患者さんの中に、ADHDでもACでもない人を見つけるのがいっそ困難だそうです。



そして、それではADHDやACの温床となる機能不全家族にならないためには、どうしたらいいのか?

どういうことを心掛ければいいのか、ということに関しての叙述が続きます。


この本の面白いところは、著者もインタビュアーも依存症の経験者なのです

著者はアルコール中毒、インタビュアーはダイエット依存症の摂食障害経験者。そのせいか、話題としては堅く重いものなのに、本人たちがそこを乗り越えてきたせいでしょうね、なぜかカラッと明るい印象をうけます。


 これを読まれている方の中で、うちの子が教室でじっと座っていられない

いつも忘れ物をする、言っても言っても上のだ、という特徴を持っているお子さんがいたら、一読をお勧めします。


なぜならADHDというのは脳の状態から起こされる症状なので、本人の努力や頑張りではどうにもならないのです

まず、症状を沈めるために病院では投薬しますが、いったんそうやって小さいときに治療を始めた子供さんたちに限っては、学業成績も上がり、周囲との人間関係もよくなり、大きくなるにつれ、ADHDに起りがちな合併症がの症状がなくなるそうなのです。


こういう病気(アスペルガーなどもに関しては薬の力を借りた方が良さそうです。


ADHDで病院にやってくる年齢のピークというものがあるそうです。

まずは、学童期前半、その時に治療すると思春期以降には問題が起きにくいということは前述のとおりです。そしてもう一つのピークは思春期です


そしてその時期以降に通院してくるときは、何らかの依存症、不登校、家庭内暴力、うつ、非行などの目に見える問題を伴ってくる場合が多いそうです。

ですから特にADHDに関しては、早期治療早期発見が重要だということです。


 精神的な問題に関しては、韓国よりも、やはり日本の方が一歩先をいってるような氣がします。こういった本で知識を得ることは自分を救うとともに、韓国社会に影響を与える人間になるという点でも意味のあることだと思います。

今、日本の家庭ではなにが起っているのかということを知る一冊としても

お勧めです



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