こんなこと、あんなこと

5ゴリ堂山と世界遺産2011.11.28

백강 문정사랑 2013. 9. 10. 10:04

5ゴリ堂山(オゴリタンサン)?

 

 なんのことでしょうか???

 私も最初はそう思ってたのです。

 

 今では夫のせいで耳にタコ    (おかげでというべきなのか?)

 これはですね。

 

 日本語で言うと、「道祖神」という言葉が一番近いのではないかと思います。

 堂山とは、その土地を保護する目的で立てる守り神のような存在です。

  

 うちの町のは 五箇所にあるから 5ゴリ堂山(オゴリタンサン)

 

  堂山を中心にした祭事が行われることもありますが

 堂山を擬人視して崇拝しているわけではありません。

 

  韓国と日本では「神様」の概念が違います。

 「守り神」というとやはり人格神のイメージがありますね。

 

 災いを避けたり、風水的に弱い部分を補ったりして、

 村の平安と安泰を維持するために設置した置き岩

  (岩じゃなくて、木の場合もありますが)

  

 と言った方がまだ、近いでしょうか。

 

 とにかく「笠地蔵」みたいなものではありません。

 

 これが堂山の写真の一つです。

  
ソウルの教育ママ

 こんな堂山もあります。


ソウルの教育ママ

 

 うちの町のものは1800年くらいに建てられたものだそうです。

  韓国各地に、堂山は、たくさん残っているのですが

 うちの町ほど、町の中心部に綺麗に残っているところはあまりなく、

 しかも、この堂山を中心とした祭事

 現在でも引き続き盛大に行われていることが、

 他地域との差別化のポイントだそうで

 そんなこんなで

 うちの町の「5ゴリ堂山」を世界遺産に認定させよう!という動きがあります。

 注)   世界遺産(せかいいさん)とは、1972年のユネスコ総会で採択された

 「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)

  に基づいて、 世界遺産リストに登録された遺跡や景観そして自然など、

 人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」(Outstanding universal value)

   をもつ不動産を指します

 すでに、ここではコインドル(支石墓)が世界遺産に認定されています。

 他にも、パンソリとか干潟とか、「世界遺産認定」されたものがありますが

 この「5ゴリ堂山」まで、世界遺産に登録する運動を!ということで

 町の郡庁で、学術セミナーがありました。

 夫が事務局長を務める「コチャン文化研究会」主催です

 私は一日お手伝いで出動してました。

 

また祝い花が。


ソウルの教育ママ

 

 「堂山 学術大会」です。


ソウルの教育ママ

 

 うちの旦那さんは二番目の論文発表者です。


ソウルの教育ママ

  各大学から専門家を招いて、各自の研究分野における

 「堂山」の学術的価値について、発表の時間がもたれました。

 私は後ろでせっせと受付とお茶出しをしていました。

 「いらっしゃいませ。ようこそ。




  ご記名をお願いします。」




 「よろしければ、あちらでお茶をどうぞ」 ってな感じです。

 あと録画カメラの方向直しと、機材の管理。

 

 会場の席はぎっしり埋まりました。


ソウルの教育ママ

 堅ーい堅ーい話に、100人近くの方が集まるのに驚きです。

 約三時間、大学教授たちの論文発表が続きます。

 

 こういう姿をみると

 うちの町って田舎といっても、なかなか文化水準高いよなあと思います。

 すごいぞ、コチャン!

 

 地元の新聞社の記者さんたちも

 取材に来てます。


ソウルの教育ママ

 カメラがすごいなあ。 そのレンズ一体何センチですか?

 

 時間大幅オーバーですが、論文発表が終わったところで

 

 聴衆からの質問を受けます。


ソウルの教育ママ

 

 

 

 質問が鋭くてびっくり。

 発表者の論旨を正確につかんでないと、

 決して出ないえぐるような質問でした。


ソウルの教育ママ

  立ち上がって、質問しているのは、

  退官して故郷に戻ってきた大学教授。

 

 こうしてセミナーで各専門化が「5ゴリ堂山」について発表したことで

 世界遺産に登録できるポイントが何なのか?

 その中で本当に登録しようとしたら、早急にすることは何なのか?と

 ということが明確になりました。

 ほー!  すばらしい。

 解決策を練りだすのが目的ではなくて

 疑問点がはっきりさせることが、

 学術セミナーの目的のひとつですから

  セミナーは成功といってもいいと思います。

  現時点で、うちの町の「5ゴリ堂山」は、

 世界遺産絶対登録確実!というには、ちょっと物足りないところがあるかも。

  もっと古くに建てられた堂山は他地域にもありますし。

 

 しかし、世界遺産登録の最近の流れを見てみると

 「一体何がどうなるか、誰にも断言できない!」 という意見も

 専門家の口から出ました。

 たとえば、中国が「アリラン」を中国の民謡!であると主張して

 世界遺産登録しようとした事件があり、韓国人を唖然とさせました。

  

 これは今年の6月末くらいの事件でした。

 

 放っておくと、自分たちのものまで、外国が「自分のものだ!」と主張しかねない!

 だから、出来るものはどんどん登録の準備を しておくことだ。

 という危機感が韓国では最近ではあったりするそうです。

 あと放っておくとなくなる可能性のあるものなども

 保護の意味で、順位があがって登録されたり。 (危機遺産)

 

  世界遺産に登録してもらうには

 まずは韓国の代表選手として選抜されないといけません。

  そこに食い込むにはどうしたらいいのか? 

 ラスト発表の教授は実に

  具体的にその方法論を述べました。 

    (まるで切れる進学塾の受験指導の先生のようでした)

 

 

 今年の年末にも、また「コチャン文化研究会」が学術セミナーをやるそうです。 

 私はまたお手伝いに呼ばれるのだろうと思っていたら

 会長さんと夫から

 「次の学術セミナー、えみこさんがスピーカーをやりなさい」 

 と言われました!!

 「わたしが一体何を発表するんですか?

  韓日ヨタ話くらいしかできませんが?」

 

 「あの先日言ってた、日帝時代の金一族の資料、韓国未翻訳だから

 あの内容をまとめてここで発表してくれたらいいよ。 町と大きく関係しているから」

 とおっしゃる。

 

 ここの会員さんは切れる方が多くて、

 さきほどもカミソリのような質問が飛び交ってたじゃないの。

  そんな戦場のようなところに出て行って私に講義しろというの?

 大体あの本は

 「韓国人は論理よりも感情的満足を優先している」

 なんてことが書いてあったじゃないの! 

  それを私にここで発表しろというんですか!

 「大丈夫ですよ」と

 会長はにっこりおっしゃってくださるが

 

 

 うちの夫は、「がんばれよ、全然オッケー、問題ないよ」 と笑っている。

 いいわよねえ、母国語で発表できる人は。それだけでも気楽で。

 あんたも一度英語か日本語でセミナーやってみなさいよ。

 

 わたしゃ韓国きてから講義は全部韓国語だよ。

 

 

 学術セミナーでの発表まで、私にお鉢がまわってきた。

 まさかこんなことまでやることになるとは。

 

 大学院で修士論文の発表はやったけど

 あの後、論文発表ってのは一度も縁がなかったな。

 

  準備期間は一ヶ月ないけど、やってみようか?と思ってる。

  声を掛けていただけるのはありがたい。

 まったく思っても見なかったようなことが、こうして起こるから面白い。

  「出来ません」も「考えさせてください」が何故か口から出ない。

 

 上手くいく保障なんかないのにも関わらず。

 なんだか気分は「ゴーゴー」だ。

 はて?一体何が私の背中を押すのか?

 

 ほんとに学術セミナーのスピーカーになったら、

 またブログにアップします。