こんなこと、あんなこと

[ウリ」って何だろう?2012.8.7

백강 문정사랑 2013. 9. 30. 11:13

「ウリ」という言葉は


   「私たち」もしくは「私たちの」という意味の韓国語で


  韓国では非常に良く使われます。


  

   韓国語のことも 「ハングンマル」と言わずに


    「ウリマル」 と言う場合もありますし


   韓国がといいたいときにも


   このウリを使って


   「ウリナラ」 といいます  (ナラ は国です)



    うちのコ なんてのも


    「ウリ アイ」です。



   

   脱北者の女性の講義の晩、

   


    


 同室の韓国人ママが、こういいました。


 


  「あの脱北してきた人、言葉が全然ウリと違うわ。


   あの韓国語は「ウリ」が使う言葉じゃない。

 

   朝鮮族の人たちが使ってる言葉と似てる。」



 

  さらに重ねてこういいます。


 

  「なんか恐いわ。あの人。


 

   北から来たっていうだけで、もう怖い


 

   あれは「ウリ」と違うわ」



 

   というのです。


 

  この人は特に恐怖心の強い性格で


 

  しかもどうも聞いてみると


 

  「反共教育」を強く受けた世代のようです。



 

   この人はすごく日本が好きで


 

   私には「あなたはもうすっかり韓国人ね」なんて


 

   さっき言ってたではありませんか!!


 

   私は別に韓国人に韓国人として認めてもらいたいと


 

   思ってるわけではないのに!!



 

   だから私は彼女に向かって


 

 


 

  「オンニ!!頼むからそんなこと言わないでよ!


 

   あの人が講義中に何度も何度も


 

    ウリナラ(我が国)は、


 

   ウリナラはって連呼してたじゃない。



 

   あの人の言うウリナラは南韓のことだよ。


 

   文脈からして。


 

   自分では韓国国民になろうとしてるんだよ。


 

   聞いててそれが痛いくらい分かったよ。


 

   あの人の北朝鮮批判の言葉は


 

   まだ自分を納得させるために言ってる言葉だよ。



 

   私なんか韓国に14年も住んでるけどさ


 

   いまだに韓国のことを「ウリナラ」だなんて


 

    ミジンコほども思わないね。


 

   私の国は別にある。ここで住めば住むほど


 

   日本人だってことが良く分かってくるよ。



 

   それなのに、


 

  オンニは私にはこんなに親切にしてくれるのに


 

   あの人みて、「怖い」って!!


 

   それなんなんだよ!!


 

   あの人は南に順応しようとしてるんだから


 

   そんな「ウリ」じゃない!なんて

   

   勝手に壁作らないでよ。


 

   そんなん可哀想だよ!!」



 

   と言ったら


 

  「え?あの人そんなこと言ってた?」


 

  という。


 

  人の話はちゃんと聞かんかい!!


  二時間も講義してたじゃないの!!


 

  この人自分の脳内でだけ「怖い」「怖い」と独り言を言ってたのか、、、



 

  ああ、話の内容も関係なく


 

  脱北者というだけで


 

  もう怖いのね!!



 

  

   同室のオンマたちは


 

   「このオンニはさあ、すごい恐がりだから


 

    北から来たってだけで


 

    もう拒否反応なんだよ」


 

    と笑っていた。



 

  そしてそのオンニは私に


 

  「いまどきそんなに他人のために熱く語る韓国人も


 

   いないよね。 


 

   あんたって今どきの韓国人より


 

   よっぽど韓国人らしいよ。


 

   (この人はソウルの教育激戦区在住である)



 

   あんた見てたら、


 

   「日本人ってすごくいい人」だってわかるよ。


 

   愛国教育とかいってるけど

  

   あんたのやってることとか

   

   言ってることって、


 

   ほんとにすごく「日本の良さ」を振りまいてる愛国行為だと思うよ。」



 

 という。


 

 この人はちょっとピントがずれた


 

 受け答えをする人だったけど


 

 私にはすごく優しい人だった。




 

 それは昔日本旅行した時に、


 

 受けた日本人の親切が忘れられないからだそうだ。


 

  この人に過去に親切にしてくれた日本のどなたか 


 

 ありがとうございます。


 

 

  日本人にとっていいイメージから始まってるから


 

  面と向かって文句を言っても


 

  「こんな文句を言うなんてすごいわ!」と

  

  さらにいいイメージを持つという皮肉!!



 

  まあ、とにかく脱北した北朝鮮の人たちが


 

  韓国生活の適応に苦労しているのはほんとであって

  

  表面的なことになれた後は


 

  現代韓国の人間の冷たさに打ちのめされる。



 

  私も韓国社会のマイノリティだから。


 

  そういう人たちの苦悩に同調する面があるのかもしれない。



 

  だから「ウリ」が「ウリ」がという言葉が出てくると


 

  私のような外国人嫁は


 

  その「ウリ」の中に入ってるのかどうか?という疑問が湧く。


 

  まず国籍的には入ってない。


 

  帰化してる嫁さんたちもたくさんいるけど


 

  日本人で帰化する人は多くない。



 

  しかしもうその外国人嫁たちも(ほとんどは帰化している)


 

  韓国に15万人だぞ。



 

  北からの脱北者が今2万7千人だったかな 


 

  韓国内だけで。


 

  (中国には10万人以上いるそうだけど。)



 

  この人たちはなんとか「ウリ」の中に


 

  入ろうとしているのに


 

  南韓の住人たちは


 

  なんだかんだいって「ウリ」の中に入れることをためらう。


 

  



 

  とにかくこの「ウリ」という言葉は


 

  「ウリ」の中にいる人たちにしてみたら


 

  すごく心地のよい連帯感を感じさせるかもしれないけど


 

  私みたいな中途パンパな立場の人間にとっては、

  

   その「ウリ」という言葉が


 

  目の前に下りてきて


 

  私と韓国を分けてしまうようなイメージを持ってしまう。


 

 

  家にかえって旦那にそのことを話すと


 

  「ああ、ウリの語源は ウルタリ(垣根・柵)だから


 

   それは当然のことだ」と言う。


 

  

  ウリの語源がウルタリなのかどうかは


 

  確かめていないけれど。


 

 

  ウリという言葉は、つまりここからここまでが


 

  自分のテリトリーであるというその線引きであると。



 

  だから中にいる人は自分の味方だけど


 

  ウリの外にいる人は違うのだという


 

  その境界線を作る排他的な言葉なのではないか??


 

   ということだ。



 

  思いつきで書いたことで、何の検証もしてないけど


 

  私が今ひとつ「ウリ」という言葉を


 

  親しく感じない理由がなんとなく分かったような気がした。



 

  そしてこの「ウリ」の中にいる人たちは


 

  「ウリ」からはずされることを、


 

   非常に恐れているようにみえる。


 

  「ウリ」の一員として認めてもらうために


 

   「ウリ」にふさわしいなにかを整えようとする。



 

   韓国人が望ましいと見る様々なものを。


 

   学歴であったり、お金であったり、

 

    家柄であったり、道徳性であったり、美であったり。



 

    「ウリ」から外れてもちゃんと


 

    生きていけるんですよー!!


 

    わたしなんか最初ッから韓国社会で外れてますけど


 

    こうやってたくましく生きてますよー!!



 

    「ウリ」という「ウルタリ」(垣根)を


 

   はずしても大丈夫。


 

   ちゃんと生きていけるってことを


 

   韓国女性たちが


 

    自覚すると、すこしはこの国に蔓延する


 

    「恐怖感」が薄れていくのかなあ。